入院前から見たいと思っていたはずなのに何故か上映最終日に駆け込むことになったテヴィット・O・ラッセル監督の『ザ・ファイター』を見て、泣いた、マーク・ウォールバーグの疾走とクリスチャン・ベールの後頭部に泣いたよわたしゃ。
昨日とは打って変わって、画面から湿気が伝わってきそうなむんむんした暑苦しい冴えない町の片隅で基本的にTシャツの首周りを汗でずくずくにしながらジャンキーの兄とボクサーの弟とふたりを取り巻く家族と町の人たちを、個人的にあまり趣味ではないはずの揺れるカメラがつかず離れず、ぞくぞくするくらい面白かった。刑務所と試合のシーンでは久しぶりにサブイボが立った。あの、無駄に大人数で全員頭おかしいくせにやたらと家族の絆を大事にしたがる親族たちの姿も決して他人事とは思えず見ながら泣き笑い。あの小姑たちも含め役者もみんな素晴らしかったし音楽もかっこ良かったしと、文句のつけどころが見つからないくらい大満足なアメリカ映画でございました。内容自体は既に何回も見たことあるような話なんだけどなあ。不思議なくらい面白かった。ひとつだけケチを付けるとしたら、日本版のHP、良さを伝えたい気持ちはわかるけど有名人のコメントが収集つかなくなってると思います。
脚本は実話に基づくとのことで、家の雰囲気とか映像のざらざらした感じから勝手に70年代くらいの話かと勝手に想像してたんですけど結構最近の出来事だったのですね。エンドロールネタに弱い私の心を鷲掴み。

衝撃の結末!みたいな宣伝をされてるけどだいぶ前に原作小説を読んでしまったので話の筋は知ってるんですよねと、マーク・ロマネク監督『わたしを離さないで』 を見に行ってみたら平日の午後だというのにかなりの客入りで驚いた。恐るべしル・シネママジック。
こういう湿度の低い冬の匂いがしそうな土地で端正な顔をした白人たちによる物静かな文芸映画ってものを久しぶりに見た気がするんだけど、ある程度具体的に終わりが見えている生という内容が、震災や原発事故の後だからかスーちゃんさんの遺書を読んだせいか、ただ淡々と語られてああ悲しいねで終られてもなあって感じがどうしても拭えず。限られた狭い世界でしか生きられない登場人物たちが例えまた戻ってくるとしても外に出る瞬間に感動したかった。でないとあまりにもほんとにただの無駄死にしか見えないんじゃないかしらん(でもこれすごいショッキングな内容として捉えられてるらしいけど、絶対近い将来現実に起こることだと思うんだけど。臓器提供のためだけのクローン人間)。改めて、「悲しきコピー・ロボット」は深い歌だったのだ。
キャリー・マリガンだのキーラ・ナイトレイだのと今ハリウッドで一番旬なイットガールが揃っても女校長を演じるシャーロット・ランプリング姐さんが全部持っていってたのがかっこよかったです。

渋谷がなんかいつもより浮かれてるなーと思ったら今週末から世間はゴールデンウィークだったのね。自分でもびっくりするくらい予定なし。別にいいけど。

ちょうどいい時間に上映してたから近所の映画館で堀禎一監督『魔法少女を忘れない』 を見に行ったのですが、感想とか言う前にひとつだけ聞いていい?魔法少女って何?
原作は何とか賞を受賞した人気のライトノベルらしいがまったく知らず、主人公の少女が元魔法少女だったという設定で普通に始まるお話に最初はちょっと戸惑ってしまったのですが、最終的には魔法がなくても映画と愛の力で少年と少女が奇跡を起こす姿が中々感動的な作品で、ロリコン撲滅派の私としたことがなんと主人公を演じる谷中里早クン(トミーの娘だったのね!)の真っすぐ過ぎる視線に思いっきり心奪われてしまったのでした。美人とか可愛いとかとはまた違う、すごい不思議な表情をする子で、キスシーンで腕を回す姿は危険過ぎる気が(このふたりにキスさせるんだ!という衝撃も大きかったが)。ものすごいスピードで疾走する自転車に乗ったこの彼女の魅力が魔法少女の運命と重なって、悲しいかな人は忘れてしまう生き物だという事実が必要以上に切なく、前田亜希の突然の車中の告白もそう考えるとだいぶ重いわ。残念ながらこのユートピアみたいな共学中学校で繰り広げられるキラキラした世界にきゅんとすることはなかったけれど。
その辺の情報に疎いもので全然わかんないんですけど、メガネ美少女の時代劇口調って今もどっかで有効なの?彼女の告白シーンは非常に良かったしちょっと泣きそうになってしまったけどさ。

豪雨に打たれたり日差しに差されたりと忙しくしながらクロード・シャブロル監督『引き裂かれた女』(07年)を見に行ってみた。昨年80歳で亡くなった監督が4年前に残した作品だそうな。
エロくて知的なちょいワル親父と馬鹿だけど可愛い金持ちのドラ息子の間で揺れ動き引き裂かれる若い女(二十代前半くらいの設定かと思ったけど演じてる女優さんは私とタメだった)を巡る、内容自体はどうってことない恋愛サスペンスが、いくらなんでもエロ過ぎる。決して過激なセックスシーンがあるわけでもなく数回のキスシーンくらいしか具体的な絡みはないのに映画はここまでエロくなれるのかと感動、遺作『刑事ベラミー』も相当エロかったし、おじいちゃんのエロパワーに改めて圧倒されました。何あの水着。「誰に教わったんだ!」にはひとりで爆笑してしまった。で、結局あのエロ親父は娘の母親ともやってたのか?
しかしあの、花束のメッセージを見た次の瞬間には男の家に行ってるところとか顔を上げたらお母さんだったところとか、ドキドキしたなあ。フランスには今時こんな漫画みたいなボンボンがいるのかとはちょっと疑問だったけど。あと、やっぱり今回も女優の顔が微妙な美人で、メイクや服装によって印象ががらっと違うのも良かった。美人にしては顔長いよねこの子。
そして観賞後にこの話が実話だと初めて知ってびっくりしたのですが、どこまでがほんとなの?まさかこのラストまで??

ふううう、一週間以上続いた毎日の動物病院通いがやっと一段落、何よりも最優先にぽんず(オシキャット、6歳オス)シフトで動いてた日々がやっと落ち着きそうで。と言っても来週からも一日置きくらいで点滴を打ちにいかなきゃいけないのだけれど、とりあえずぱっと見は病気前とほとんど変わらないくらい元気になり食欲も戻りました。想像以上にたくさんの方にご心配をおかけしましたが、おかげさまでコンヤハヤマダ状態は無事回避できたようです。励ましのお言葉や病院の情報、色々本当にありがとうございました!生き物の命って偉大ですね。
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それにしても毎日このケージに入れて10分弱4キロ近い猫を歩いて運ぶのは虚弱な私には結構な重労働で、病院通いが長期化するとのことなのでついにカート式ケージ(乳母車みたいなの)を購入。それが中々いいお値段がするうえ、病気になってから今日まで医療費は総額で10万近くかかってる。私の場合は別にいいけど一般的な生活で突然この出費は普通無理よなあ、人間も猫も健康第一。
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美しいお顔とは裏腹に着々とデブ化が進んでるそらさんは最近、スパイダーマンがビルを登るかの如くするするとカーテンによじ登る技術を身につけだして大変困っている。オーダーものを破るのだけはやめてー。

昨夜は、樋口泰人さんのトークイベントが聞きたくて二回目のアピチャッポン監督『ブンミおじさんの森』をシネマライズさんにて。同じ映画を見直すことはほとんどしない派の私にしては大変珍しいことなのですが、もちろんもう一度見たいくらい面白かったっていう理由もあるけど、実は前回の鑑賞では中盤ちょっとウトウトしてしまってたのですねー。私としたことがなんて骨体と改めて気合いを入れて向かった、はずが、上映前の樋口さんのお話によるとなんとこの映画は精巧に眠気を誘うように作られていてむしろ寝なくちゃいけないんだというではないか。なんややっぱり私は正しかったんだと安心しながらも今回は無事一睡もせず完走。心の準備が出来てる状態で見るとかなり笑える映画だった。樋口さんはエロナマズがかなりお気に入りのご様子だった。

その前日にはソフィア・コッポラ監督『SOMEWHERE』 を見たのだった。退院してから日付と曜日の感覚がおかしい病が治らなくて。
40歳を過ぎて子どもを産んでも尚相変わらずソフィアさんは今回もデビュー作から一貫して続くブロンド少女の金持ち故の孤独(共感なんか致しません)をおしゃれガーリー番長健在な映像と音楽で見せてくれる、と見せかけて実は今作はかなり過去の作品とは違うところへ行ってる気がして、非常に面白かったです。監督作の中では断然好き。終り方がちょっとダサくて残念やったけど。
華やかで空虚な芸能界に生きるどうしようもない男と離婚した妻が育ててる11歳の娘が高級ホテルで一緒に過ごす夏の限られた時間、いくらふたり一緒に車やヘリコプターで世界中を彷徨っても父親はフェラーリでサーキットを走ることしかできず娘はスケートリンクをくるくる回ることしかできない、今まで探してたはずのsomewhereなんかどこにもねーよという開き直りがかっこよく、プールサイドの絶対に重ならないふたりの姿に思わずジーンとしてしまった。エル・ファニングちゃんのひらひらした11歳の笑顔と涙が本当に眩しくて、このままお姉ちゃんみたいにいい女優になって欲しい。
ホテル大好きっ子としてはあのルームサービスの感じとかを見てるだけでも楽しかったのだが、さすがの私も部屋にプール付きのスイートルームは未体験で、31歳やけどパパにおねだりしてみようかと思った。

見ろと言われればはいと応えてその日のうちに実行できる暇人の為せる技で、江良圭監督『ガクドリ』をシネマロサさんのレイトショーで拝見。
まったくノーチェックだった作品で、劇場でポスターを眺めてもどうやらドリフトものらしいなってことしかわからず、何故これを勧められたのか私そんなに映画界の飛ばし屋キャラだっけかと不思議に思っていたのだが、始まってほんの数秒で納得。冒頭一分未満の自転車とスーパーのカートの疾走だけで昨日の107分は何だったのとショックな程爽快なスピード感、その後もほんとドリフとする車のように猛進する映画が面白くて楽しくて。頼む、頼むからここで切り返してくれと心の中で叫んでいた昨日の私にさようなら。観賞後家から徒歩圏内の劇場なのについタクシーで帰ってしまったのは映画のマジックかただの贅沢病か。
お話の内容は、どうやら実在するらしい「全日本学生ドリフト王座決定戦」に夢をかける若者たちのほろ苦い恋愛青春ストーリーとしか言い様がなく、でも深刻な事態が起きかけても次のシーンでは解決してるという『ローラーガールズダイアリーズ』 方法で進むからまどろっこしくなくて大丈夫。むしろスピードが速過ぎてついていけなくなる程だから(結局あの光の集団はキャバ嬢だったのよね...?あまりにあっさり収束するから不安になってしまった...)。火事の下りの強引さには笑った。人気仮面ライダーらしい主演俳優の、どこかで見たことあるようなコテコテの演技もうまく映画にハマってて良かったです。まあサークルのOB役がどぶろっくって時点でつまらないわけないんですけど。
いやでもマジで、見ててここまで気分が盛り上がるコメディでアクションな日本映画を最近のものでは本当に思いつかないぐらいの作品でございました。上映は22日金曜までだってよ。

朝も早よから得体の知れない酔っぱらいがウチの玄関をこじ開けようとする騒音で眼が覚める。一体何事かと恐る恐るドアの穴(正式名称忘れた)から覗いてみると見覚えのない若い男が「チクショーチクショー」と怒鳴りながら暴れていて、これはさすがに自分で対処する自信がないと生まれて初めて110番しポリ公たちに救われた一日の始まり。THE厄年。
まあ結果的にたいした被害はなかったからよかったんだけどさすがにこうも次から次へと不穏な出来事に続かれると疲れるなって方が無理な話で、カワイ子ちゃんに癒しを求め前田弘二監督『婚前特急』 を近所に見に行ってみたら、余計疲れた。
タイトルからもわかるし広告にも堂々と「21世紀版スクリューボールコメディ」と書いてあるんだけど、コメディ映画にしてはあまりにも遅い、遅過ぎる。特急と思って乗ったら鈍行やった詐欺。会話でしか内容が進まないのにそのリズムが悪い107分はキツい。終盤拘置所のシーンではなんで今まで見てきたストーリーをわざわざもう一回説明セリフで聞かされなあかんねんと怒りさえ覚えてしまった。
これは多分に、この78年生まれの監督さんがコメディ映画に向いてないという理由もあるだろうけど、アホ男とアホ女が「本当の相手」に出会う、ためだけの世界、を今映画にしたところで面白いわけがないという根本的な問題だとも思う。世界も映画も恋愛もそんなにせこいもんじゃないんじゃないかしらん。加瀬亮の無駄遣い反対。 綺麗な足に対して意外とお尻の肉付きが良く歩く姿がスクリーン映えする吉高由里子クンの堂々とした後ろ姿にほんと救われました。
それにしても、男に対して5股をかけるヤリマンの主人公より恋人に黙ってコンドームに穴を開けたり無神経に結婚を勧める親友の方がよっぽど奇想天外なキチガイだと思うんですけど。

と、どうでもいい映画を見てぐったりして帰宅するとそこにはマジで笑えない凄い事態が待っていた。ここまでくると逆にお祓いなんか絶対無意味な気がしてきたゾ。

前回の日記を書いたときにはまさかここまで大変なことになるとはまったく想像してなかったのですよ。先週末から今日までほんとーーにしんどかったーーー。自分が入院してもさほど大したことと思えないのに猫一匹にここまで全身で動揺させられるとは、マジで寿命が縮んだ。とてもじゃないけど映画を見る余裕はなかった。
軽く注射でも打ってもらうかと向かった動物病院で念のためレントゲンと血液検査をしてもらったらその結果が予想を遥かに超える悪さで、この食欲のなさと呼吸の困難さからこのまま衰弱死する可能性が高いと突然告げられたときにはもうあなた。そんなんイヤやとおいおい泣くことしかできない自分の無力さが本当に堪え難かった。 いくらなんでも急過ぎた。
入院さす前に一度家に連れて帰らせて下さい夕方にまた来ますと自宅に戻り数時間さんざん落ち込んで、無理やけど腹を括ってまた病院に行くかと決めたとき、数日ぶりにぽんずさんがエサに興味を示し、それを獣医さんに報告するとそのまま家で様子見た方がストレスが溜まらなくていいかもしれないと言われたので少しでも彼がリラックスできる状況でと自宅療養することにしたら、そっから驚異的な復活力を見せ、思いっきり食欲回復、鼻水も涙も止まり出して、本日の診察でまだまだ治療は必要だけどとりあえずは安心できるでしょうと言われ、心底ほっとしたのでした。あああマジで良かった。
ちなみに病名は、健気にも飼い主とまったく同じ、肺炎と胆石。飼い主の体調がやっと落ち着き始めた途端こんなことになる彼のKYっぷりに呆れつつももうKYでもKYKのとんかつでもなんでもいいからとりあえず元気でいてくれ。頼む。
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今じゃすっかり巷で話題のアンモナイトに。
パニクってつぶやきまくる私にいろいろアドバイスや励ましの言葉を下さったみなさま、ありがとうございました!おかげでだいぶ元気になったよー。

一ヶ月前くらいからぽんずさんの鼻づまりと涙が半端なく、でも以前に同じ症状で何度も病院に行くも完治するのは無理めなアレルギーと診断されてその場しのぎ的な治療しかされなかったので、今回もしばらくひどい状態が続いても自然に落ち着くだろうと甘く見てたら昨日辺りから食欲までなくなって、さすがにこれはヤバいとワンニャンクリニックに連れて行ったら。絶頂期には6キロあった体重がほぼ半分にまで減っておりさすがに死ぬ程不安になった。ううう(人間で言うとチュートリアル福ちゃんばりの激痩せかと)。
っていうか今までのんきでKYな性格がチャームポイントと思ってたけどもしかして彼は彼なりに私が入院で突然家を空けたりその間に地震が起こったりでストレスを溜めて体調を崩したのかしらと想像するとこっちまで辛くなって...。ってそんなことは人間の勝手な妄想でほんまにただの花粉症かもしれんけど...。
そんな不安の中、診察室の扉の向こうから何本も注射を打たれ嫌がるぽんずさんの鳴き声が聞こえてきて更に不安が募りかけたところウチの子をなだめるために獣医さん(若め男子)が即興で作ってくれたっぽいぽんずソングの歌声(♪ぽぽ〜んぽ〜ん、みたいな)に不謹慎にも思いっきり吹き出してしまったのでした。多分すごくいい人。
涙と鼻水にまみれた猫はこんな風になります。
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昨日は、先日に引き続き18時間睡眠にチャレンジ、結構余裕だった。ごはんを一回ないことにされた猫たちがキレて台所を荒らしていた。

本日は、なんか台湾の人いっぱい義援金くれてるし製作総指揮がヴィム・ヴェンダースって言うし監督はエドワード・ヤンの弟子って言うしで気になってたけど今更えらく渋谷系なタイトルでちょっとどうなのと思いながらアーヴィン・チェン監督『台北の朝、僕は恋をする』 を最終日最終回に駆け込んでみたらこれが中々悪くなくカジヒデキと思って聴いたら意外とフリッパーズだったわくらいの感触でございました(ごめんなさい、カジくんの音楽を一度も聴いたことはないので完全に勝手なイメージです)。監督さんはまだ30歳だそうな。
夜の台北を舞台に、よくこんな企画が通ったなって感心するくらいゆるい脚本(せめてギャングたちには着替えさせてほしかった...)と大人気らしい台湾スターたちのポップな共演がでもなんか退屈じゃないなあと思いながら見てて最後の桃子ちゃんの一瞬の笑顔ではたと気付いたのはああこれはなんて映画としてまっとうなカットなんだってことでそれが山下敦弘なんかとの決定的な違いなんだろうなと失礼で適当なことを、主演の男の子がオードリー若林に似てるなと思いながら感じたりしました。ヒロインのアンバー・クォ、めちゃくちゃ可愛いけどアニメ声過ぎるのが残念。ラストは、ダンスシーンを入れるにしても、タクシーを見送ったところで終わりでもよかったんじゃないかなあと思ってしまった。台北の本屋さんっておしゃれなのね。

かなり無理矢理強引に満席の試写室に紛れ込んで、青山真治監督最新作『東京公園』を拝見させて頂きました。多謝多謝。小路幸也の原作小説は失礼ながら全然知らなかった。東京って公園多いよね、ってのが田舎者の素直な驚き。
主人公を演じる三浦春馬を今まで見るたび、そのあまりの美しさと繊細な若々しさがキラキラと眩し過ぎてなんかもう正視できないってひとりで勝手に困惑していたのだけど、今回は大丈夫、なぜならそれ以上に映画が眩しく、でもその中で春馬くんがフィルムだろうとデジタルだろうとカメラを構えて女たちを見つめる姿を見つめてることがこんな頭のおかしいおっさんが知事になってしまう街の中ですら感動的に思えるから、って言いながら自分でも何を伝えたいのか意味がわからなくなってきたけどとにかく、今、TVでよく見かける人気俳優が並ぶラブストーリーだとうっかり勘違いして(いやもちろんそうでもあるんだけど)新宿のシネコンに若者が足を運んだらこんな映画が上映されているって、なかなかすごい事態なんじゃないかしら。こんな、世界が変わってしまう程悲しいでも絶対に交わされなければいけない若い男女のキスシーンの映るスクリーンを見てしまうって。でも昼間から外で焼酎をラッパ飲みする姿がこんなにも清々しく見える映画も初めてで。数日前に大興奮したタイの奇跡がここでもとっくに起こっていて、そこからの世界だった。感動しました。
今までどうも苦手だった小西真奈美がそれはそれは素晴らしかったし榮倉奈々は現実にこんな女の子なんだろうなと本気で思ってしまうようなすごい芝居を見せてくれて井川遥は本当にただ歩いてるだけで美しくて。実は私は東京公園マニアで、たまにひとりであちこちの公園にぼーっとしに行くのですが、もちろんそこに春馬くんのようなボーイはいず、映画にも出てきた上野公園でお菓子を食べてたらカラスに襲われかけて周りのホームレスたちに助けられたくらいの記憶しかないのですが、それすらもいい思い出に感じれるくらい晩秋の公園がきれい。
6月18日(土曜日)より新宿バルト9ほか全国順次ロードショーだそうで、試写室ではなく震災後の映画館で改めて誰かと見たい気がする。

私が嫌悪するのは品の悪いけばけばしさと未熟にも程があるロリコンに支配された日本のアニメである、という明確な差別意識を持っているので洋モノのためなら苦手な大江戸線に乗ってでもと六本木に向かいシルヴァン・ショメ監督『イリュージョニスト』 を見に行った。監督の前作『ヴェルビル・ランデブー』も大好きだし今回は原作がジャック・タチの遺稿となれば見ないわけには。そのジャック・タチとこの映画を巡る後日談には色々生臭い話もあるみたいだけど...。
冴えないマジックしか出来ない老手品師がもう都会では仕事がないため言葉も通じない田舎の島へ営業に向かいそこで出会った貧しい少女が彼のことを本当の魔術師だと信じ込んで老人の放浪に勝手についてくることからふたりの生活が突然始まるという物語が、ふたりの言語が違う(最後まで少女の話す言葉がどこの言語かわからなかったんだけど...。スコットランド??)が故にほぼ無声映画状態で進むのだけれど、その静かな世界はものすごくゆったりと時間の流れ、無条件に老人が少女の幸せのためにだけ行動する姿(彼女の夢を叶えるためにこっそり深夜バイトしたりするのよ)が、もう私みたいな我欲まみれの人間が存在してごめんなさいと謝りたくなる神聖さ。旅芸人が集まる宿には貧乏なフリークスしかいないんだけど、ノイズだらけのレコードと温かいシチューが彼らを救う、魔法の世界。最終的には女はカネがかかる生き物だという教訓を哀しい程教えてくれるし。
劇中に映画館が出てくるんだけど、そこに飾られてるポスターが『ぼくの伯父さん』なのはご愛嬌、と思ったら、そのスクリーンに映るのがまさかのジャックなのには思わずわあっと小さな叫び声をあげてしまった。こういうセンスには敵わない。
と、私がぎゃーぎゃーとあーだこーだ言うよりも、HPに掲載された高田純次氏の一行コメントを読んだ方がこの映画の偉大さが切実に伝わると思う。是非ご一読を。

なんでか今までタイミングが合わず今回が初体験となるアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作品『ブンミおじさんの森』 を見に行ったら途中で大きな余震が起き一度上映がストップするというハプニングに見舞われるもまあそんなことも普通に起こるよねとあっさり受け止めずにはいられないほど映画の中は不思議でスリリングでやんちゃな世界で、それは大変美しく、今この映画を見れて良かったなと思えました。タイの宗教観とか死生観とか全然知らないんだけど、こんなにも生きていることと死んでいることが同じ場所にある映画を初めて見た気がする。ブンミさんの森、かなり自由。楽しそうで行ってみたい。
冒頭、目と耳を全開にしないと感じられない暗闇の中で疾走する牛さんの渾身の演技が既に感動的で、 映画の間中常にどこかから聞こえてくる虫の声が泣き声みたいに変わるとき、まさかの森に感情移入で動揺してしまった。
撮影自体にあまりお金がかかってなさそうなのに安っぽさとは無縁、それだけでタイってすごいなと単純に感心、クレジットがわざわざ音響設定になってることが大いに納得な程とにかく音、もう一度見直して樋口泰人さんのトークを聞きに行こうか悩み中。
それにしても、演じた役者さんもこんなえげつないエロナマズでパルムドールとはびっくりしただろうなあ。笑った。

さすがにもうちょっと咲いてる桜を眺めたい、と今年二回目のお花見に井の頭公園に行ってみた。
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見事に満開で池のボートも大渋滞。
会社の都合で住民票が大阪にあるため都知事選には参戦できず高円寺のデモに参加することもしなかったけど心の中では大声で「放射NO!」と叫びながら昼ビールを呑んで祈りを捧げたものの、夜更けに知った選挙の結果にはさすがに死ぬ程落胆しないわけにはいかなかった。哀しい。

明るいうちに花見を終えてその後入ったお気に入りのごはん屋さんで、隣に座っていた若い男の子が石原の天罰発言を擁護するようなことを言い出して、幸いなことに今まで身近にそんな意見の人がひとりもいなかった私は初めて耳にするそんな言葉が本当に衝撃的で、その男の子は連れの男の子に手厳しく反論されるもただ隣にいた女の子にかっこつけたい一心で最終的には支離滅裂なことしか言えてなかったんだけど(男3対女1の謎の飲み会だった。しかも女が紙ナプキンを箸置きにするような猛禽系)、ちょっと外に出てみればこんな人は普通にいるんだと、恐ろしかった。

個人的な環境からも含め思うことは山ほどあるけどとりあえずは4年後の選挙を待って、今が最低なときなのだと信じることにする。
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そんな中気分を和ませてくれた見知らぬカップルさん。東京にも素敵な人たちはいっぱいいると思うんだけど。

昨日、冗談じゃなく24時間寝た。朝の10時にベッドに入って起きたら朝の10時だった、人生最長記録かも。おかげで自慢の二重まぶたが一重かってくらいぱんぱんに腫れております。

その前にトム・フーパー監督『英国王のスピーチ』を見た。特に興味があるわけでもなかったがアカデミー賞受賞作なので一応と思って行ったら、まあアカデミー賞受賞作だよねと期待を裏切らない映画でございました。ずっと退屈だったわけじゃないけど118分は長い。
この、会話のシーンで絶対に人を左右のどちらかに偏ってしか映さないこだわりはなんだったんでしょう。明らかに視線が合ってない瞬間があったり、TV出身の監督さんは妙に色気を出してるんだけどあんまり成功してない気がしてしまった。まさか最後のスピーチで真ん中に立たせるためじゃなかろうに。
あと、実話だから仕方ないのかもしれないけど、幼少時代のトラウマが原因で抱えてしまったどもりを生まれて初めて心を開ける医者と出会ったことで克服し第二次世界大戦を開始する重要なスピーチに成功するという話の流れで、 最後のスピーチがただ渡された原稿を読み上げただけで王として素晴らしい!ってなるって、王なめすぎじゃない?と思ったんだけど。ここはせめて原稿を投げ捨てて自分の言葉で話し出すくらいしてくれないとただの難病克服モノで一体何に感動していいのやらと身も蓋もないことを感じてしまいました。ソバージュヘアのヘレナ・ボナム=カーターがバブル期の日本人みたいだった。久しぶりにガイ・ピアーズが見れたのはよかった。

お昼は、ここ最近gojo史上最長に伸びていた髪の毛を久しぶりにばっさり切ってだいぶすっきり、未来ちゃんみたいになりました。女が髪を切るとき、特に何か理由があるわけなく、ただ毛量が多過ぎて頭にこもる熱が半端ないので夏に備えた暑さ対策。でもここまで髪型変えて不評だったら悲しいので嘘でもいいから褒めて下さい。

夜は、ユーロスペースでレイトショー公開中のイレイン・メイ監督『マイキー&ニッキー』 を見てだいぶ感動。初めて名前を聞く監督さんだけどジョン・カサヴェテスとピーター・フォークが主演というならそりゃあもう。
ひとりの男が電話で「困ってる」と一言告げれば「お前は頭が変だ」と言いながらもすぐに駆けつけて助けてくれようとするもうひとりの男たちの、子ども以上に子どもみたいに友情だけを頼りに過ぎていく一晩のやりとりが、演じるふたりの芝居なのか素なのか既にわからない姿と70年代アメリカの夜の街にあるだけでくらくらするくらい面白かった。このフィルム感もそういえば久しぶりで。
バスに乗ってからお墓に行くあたりまでの微笑ましい程の男子のはしゃぎっぷりとさっきまで仲良かったくせに女にモテるモテないで大げんかするバカバカしさとそんな男たちを家で待つ女たちの揃いも揃って幸の薄そうなことよ。あの遠くで流れてるような音楽は朝には聴こえない。
それにしてもゾエちゃんは父親似だなあと思ったら、息子の名前はニックでしたね。

ええいつの間に新作公開してんのと思ったら今週いっぱいで終わりやんと思ったら2007年の作品かよと紆余曲折を経て、ジョニー・トー&ワイ・カーファイ監督『MAD探偵 7人の容疑者』を見に行った。午後一回のみだからか結構お客入ってた。
映画に関する一切の予備知識なく、だいたい監督がふたりってどういう映画の作り方なのかもよくわからず、でもまあジョニー・トーやしとりあえず男臭い復讐劇なんだろうなと勝手にイメージしていた矢先、タイトルが出るまでの3分間で十分に狂ってて、こんな不思議映画だとはかなり予想外。本編終了後に上映された特典映像でのワイ監督インタビュー曰く「もしもゴッホが刑事だったら」という発想で作られたそうです。おかしいでしょ。
なのでつまりはちょっとおかしな元刑事が第六感で事件を解決していくも周りからはただのキチガイにしか見られずそれでも頑張るって内容で、今更の多重人格ものかと特に驚きもないお話を相変わらずかっこ良過ぎる食事シーンや鏡の中の銃撃戦で見せてくれて、でも突然の雨とか男子トイレでのやりとりとか絶対にふざけてるとしか思えず、どこまで本気なんだか冗談なんだかわかんないけどやっぱり面白く最後の夜にはつい興奮、なんでこういうことを日本でやると途端に『交渉人』(米倉涼子主演の、先日たまたまWOWOWで見てあまりの酷さにひっくり返った)みたいになるんだろうと面白かったけど切なくなった。がんばれ日本。
7人の容疑者、のネタ自体は単純なんだけど、なるほどそうなると7人はみんな一緒になってしか行動できないのかとちょっと笑った。


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まだまだ五分咲きだし曇り空で気温もめっちゃ低かったけど強引に今年一回目のお花見を強行、のために向かった昼過ぎの原宿駅でジャニーズの威力を目の当たりにする。もんのすごい行列で、こんな若い子たちからお金集めんでもと思わなくもなかったが、きちんと被災地に届くのなら。
今回は花見ついでに私の退院祝いも兼ねての宴、いくら酒好きの集まりとは言えまさかウォッカボトルの差し入れがあるとは予想外だったけど、最終的に10人以上の友人たちが集まってくれて(初対面の人もおったけど...)久しぶりに楽しい時間を過ごせました、厄年でもたまには素敵なこともあるもんですね、多謝多謝。自分より酔っ払ってる人を眺めるのも中々楽しくてよろし。この時期代々木公園に行く場合トイレの行列にマジ要注意。もうちょっと花が咲いたらまたどっかに見に行こう。

西原派なうえ監督から直々に前売り券を売って頂いたというのに見ないわけにいかないと映画館に行ってみたら本日は映画の日だったらしく故に結局チケットの差額分損したことになるのですが、小林聖太郎監督『毎日かあさん』 は良い映画だったので細かいことは気にしないことにしました。今しがたHPを見て気付いたけどすっごい相米キャストだったんですね。
原作は新聞に連載されてる四コマ風漫画だし西原漫画を映画化するときにはこれ以外の方法は中々難しいんだろうけど今回も細かいエピソードに対するナレーションでの解説がもっと他にやり方ないのかなあとちょっと気になったが、今まで見た西原原作ものの中では最も内容的に原作に沿いつつ映画であることに真面目な作品な気が、監督が映画の中の家族を見つめる落ち着いたカメラが元戦場カメラマンである夫が自分の家族を見つめてるときに強くしました。でもこっそり原作にはない父と息子のエピソードを照れ臭く紛れ込ませてるのも微笑ましくて良かった。見ながら、こんなに子どもに恋しがられるって鴨志田さんはアル中だろうと無職だろうと相当良いお父しゃんだったんだろうなあと改めて感心、1秒くらいだけ久しぶりに結婚したくなった。
キョン2はジャージを着ても皺が目立っても相変わらず絶対的にキョン2だったのだが、元夫役を永瀬正敏が演じる中でキョン2に妊婦の姿をさせるって、相当凄いことだと思うんだけど。ラストに本人たちの写真を出すのは『きみに読む物語』ばりにズルいと思うんだけど。

しかしまあ春休みだからかサービスデーだからかシネコンは大混雑で、トイレに並ぶ女子中学生たちの集団がみんなめちゃくちゃ痩せた体に目一杯オシャレしてて、都会って怖いなあと上京13年目にしてしみじみ感じてしまいました。