予告を見て、うわメルギブ兄さんめっちゃキレてますやん何があったんすかと気になってしまったマーティン・キャンベル監督『復讐捜査線』 をつい公開二日目に見に行ってしまった七月の終わり。
娘を殺された刑事の復讐劇、冒頭十分、久しぶりに再会した娘がわけもわからずいきなり射殺されるまでの流れがほんとかっこよかったのでだいぶテンションは上がった、ものの、その後のストーリーが予想以上にスケールのでかい話に転がっていきそれがひたすら犯人や関係者たちの「罪の告白」だけで進んでいく展開にはうーんだいぶダルいかもと思ってしまった(「守秘義務だ...」とか言いながらみんなぺらぺら喋り過ぎ)。それでも突然人が死ぬシーンがやたらと凄かったり、一番衝撃的なアクションがまさかの牛乳ぶっかけの刑で、これには久しぶりにびびった。是非とも東電関係者に見てもらいたい。マジで。
脚本や登場人物のキャラクタイーに色々突っ込みたいところがあるものの、最終的に本格的にブチ切れたメル・ギブソンが大いに復讐しとりあえず悪いヤツら全員死ね的な落ち着き方が憎みきれず、なんかおかしな映画見たなあと。多分ここにも『デビル』に似たキリスト教的な影響ってすごい大きいんだろうなとは思った。思っただけ。あと、やっぱり日本じゃ絶対こんな映画作れないだろうし、アメリカの妙な懐の広さに今回も感心した。
だいぶ前に某ギャラクシー賞ラッパーさんから「『トイ・ストーリー3』より完璧な映画」と言われて以来ずっと気になっていたクリス・サンダース&ディーン・デュボア監督『ヒックとドラゴン』(10年)が近所の二番館で上映していたのでつい。
長い年月ドラゴン退治と戦っている小さな島の、超マッチョな父親とは真逆にひ弱な少年ヒックが、伝説のドラゴンの命を救ってしまったことから始まる友情と冒険のストーリー。まずこのドラゴンか明らかに猫をイメージしてて、その動きや表情を眺めてるだけで可愛過ぎて悶える。でも翼が治って飛んだときの爽快な疾走感はほんと『アバター』以上、全身鳥肌立つ程ゾクゾクとかっこいい、これはスクリーンで見て良かった。その中に父と息子の確執と和解、少年みたいな女の子との初恋、仲間や今まで敵だったものたちとの友情、そして最後に少年が自ら背負う傷、ケチのつけどころのない確かにこれは完璧な映画と言えると思いました(アニメのなのにどこか歪なところが『トイ・ストーリー3』の魅力だとは思うけど)。ラストの闘いでドラゴンが小さな影で見えたとき、泣かずにはいられなかった。
ドラゴンたちのビジュアルがおしゃれでファニーなのはもちろん、主人公の少年がかなり最近のお気に入り俳優ジャスティン・ロングにそっくりだったのも良かったですね。公開時なんでオードリーが宣伝してんねやろと不思議に思っていたら、メインのドラゴンの名前がトゥースだった。
知り合い率の異常に高いCO2東京上映展2011の会場で、挨拶する人みんなに「猫大丈夫?」と心配して頂き、有り難いことで。本猫は親の心子知らずな感じで結構元気に生き延びております。
で、平日の夜だというのにほぼ満席の中クーラー直撃の座席に座ったことを激しく後悔しながら、佐藤央監督『MISSINNG』&万田邦敏監督『面影 Omokage』両作東京初上映を鑑賞。突然幼い息子を失った女を巡る『MISSING』は、冒頭の神戸の海から大変かっこよく、自主映画とは思えない立派な画面に圧倒されつつ、さすがと言うかやっぱりと言うか小出豊氏の脚本に漂う全面的な不吉感に何でこんな私をイライラさせることばっかり考えつくんやろと、イライラするのがイヤとかじゃなく、自分じゃ絶対考えつかない展開に感心しつつ。キチガイじみたおばさんの存在には思わず笑ってしまったけど。でたらめな大人の世界に自ら足を踏み入れる少年たちの姿とまっすぐな表情がなんとも胸を締めつけ、まったくの素人子役だと後で聞いて驚いた。失ってしまった、二度と戻らない人への想い、という点で共通してるのかと途中で気付いた『面影 Omokage』は、実はだいぶ前に音楽や字幕が入る前の状態で一度試写を拝見していたのだけれど、ベルギー人のおじさんが大阪の和菓子屋で見知らぬ親子と掛け合いをするという冗談みたいな25分の短編作が、最終的にはなんだか感動的に思えてくるから不思議。ベルギーのジャン・ギャバンらしい主演のヤン・デクレールさんの佇まいと、狭い店内で漫才みたいな会話を展開する父と息子のやりとりと路上で話し合うベルギー人と日本人の会話だけでほんとに十分な映画。大阪の路上に跪きながらオランダ語で椅子に話しかけるベルギー人、という画はさすがにちょっとシュールだったけど。両方とも若いカメラマンの仕事が素敵でした。またどこかで上映される機会があれば是非。
終了後へらへら参加した打ち上げ、もうこういう大人数の飲み会では圧倒的に年下の人が多いんだとちょっと新鮮でございました。
こんなカタチで上映時間が増えたり平日の午後にほぼ満席だったりするのも哀しい気がするけど、阪本順治監督『大鹿村騒動記』 を。阪本監督の映画をシネコンに見に行くと知人に会う率100%な最近。
長野県大鹿村というド田舎で300年も続いてる村歌舞伎をメインに、原田芳雄、大楠道代、岸部一徳の三人が微妙な三角関係でドタバタ、芸達者な人たちの芸を見てるだけで楽しくなる、これが千円で見れるならと満足の93分でございました。大傑作!とは言わないけれどこの映画に文句つけだしたら『アンダルシア』とか見れなくなるしさ。一応松たか子とか瑛太とか佐藤浩市も出てるけど贅沢な脇役って感じなうえ俳優たちの芝居もなんか楽しそうなのが良かった。同じように出番は少ないもののさすがに三国連太郎の涙には泣きそうになってしまった。それにしてもボケ役を演じてもなお大楠道代が可愛過ぎて参った。こんな女性になりたいもんです。
しかしそんな落ち着き払った映画の後にはやっぱり篠崎誠監督の『死ね!死ね!シネマ』だしょ、とレイトショーに駆けつける。試写で見せて頂いた時から更にバージョンが変わっていると聞いたので。つっても二回目だしと余裕をかまして見始めたものの、初見の際にはとにかく衝撃的過ぎてあわあわしてる間に70数分が過ぎて行った感が大きかったものの今回改めて見てみて、へらへら笑って見る映画じゃないんだと反省(それでも笑ってしまったけど)。ここでは映画監督シマザキとなつきとスズ子の三角関係が、ドタバタとは程遠い緊張感と狂気で映画に描かれたとき、あまりにストレートで感動的な愛の映画に。凄いなあ、久しぶりに自分が映画撮りたいとか考える人じゃなくてよかったなあと思いました。多分(いや絶対か)DVD化したりしないと思うので、 8月5日までの公開中に目撃しておくことを強くお勧めします。
とりあえず、ぽんちゃんは無事一時退院できました。4日間の入院でお会計の際さすがの私も一瞬動揺を隠しきれず(それでも国立病院なので安い方なのだとか)。みなさまも猫の癌にはお気をつけ下さい。
いつのまにやら東京中の映画館がTOHOシネマズ化してるんだと驚きながら、日劇さんでジョン・エリック・ドゥードゥル監督『デビル』を鑑賞。中途半端過ぎる上映時間だというのに予想に反して結構お客さんが入っていたこの作品は、『エアベンダー』の大コケによって監督生命の危機に陥っているらしいM・ナイト・シャマラン監督が若手支援のために始めた企画「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第一弾とのこと。他人を支援する程余裕があるなら是非監督自身に新作を撮ってもらいたいところですがまあ。
原因不明の事故によって高層ビルのエレベーターに閉じ込められた五人の男女が停電によってエレベーター内が暗闇になるたび一人また一人と殺されていく、果たして犯人は...?というなかなかの今更感な密室劇で突っ込みどころも多々あるものの、緊張感を高めまくる音楽をガンガン使いつつ手堅い撮影と演出でさすがは最後まで飽きずに見ることは出来ました。シャマラン映画ではお馴染みの、どっかで見たことがあるけど名前とか全然わからんし的微妙なキャスティングも良かったです。おばあちゃんが立ち上がるところではさすがに笑ってしまった。
とは言え、何故こんな既に何度も同じような映画が作られているお話を今時大金をかけて作れるのかと考えてみたところ、シャマランさんの大好物である罪と罰と救済という要素が出てくることもあって、やっぱりアメリカにおけるキリスト教の存在って凄いんだなあと。密室殺人の謎解きとか以前にタイトルが『デビル』ですからね。詐欺も窃盗も暴力も嘘も殺人もすべて一緒くたに死に値する罪として扱う感覚はやっぱりちょっと理解できない部分がなくもない。アメリカではどのように見られたのかが少し気になりました。
自分の入院以外で一週間近くも映画を見ない日々は久しぶりな気がする今日この頃、他にもっと見るべきものがあるような気もしなくはなかったがなんとなく気になっていたスペンサー・サッサー監督『メタルヘッド』を見に行ってみた。すっごい地味に公開されてるけど普通にナタリー・ポートマンとか出てます。
母を亡くしてものすごい陰湿な雰囲気になってしまった家で暮らす少年の元に突然正体不明のメタル野郎が乱入、キチガイじみた奇行に振り回されるも最終的には彼のおかげでみんなちょっと救われたかも、と中々良心的なアメリカ映画的物語、『(500)日のサマー』や『インセプション』で人気イケメン俳優なはずのJ・ゴードン=レヴィットがメタル野郎って言うよりただの下ネタ好きな長髪ホームレスにしか見えなかったりしたけど(大体メタルがほとんど流れないし...)、理不尽な世界に対して怒りをぶちまける少年の姿はかっこよく、ラスト、男性器を例にして失ったものの大切さと残されたものたちについて語るシーンではちょっとうるうるしてしまった。何かが特別冴えてる映画ってわけじゃないけど、笑えて泣けて良かったです。珍入者モノって言うからにはこれくらいやって頂かないとねー。
内容と関係ないけど、主人公の男の子が事あるごとにぽんぽん体を吹っ飛ばす(車にはねられて自転車からぶっ飛んだり、ショベルカーで持ち上げられてぶっ飛んだり)、その飛びっぷりが素敵だった。
というわけで、東京大学大学院農学生命科学研究科付属動物医療センターさんで詳しい検査を受けた結果ぽんずさんが癌になってがーん!と叫ぶしかない数日を過ごしていたわけで、今後は可能な限りのカネと時間を費やして放射線でも抗がん剤でも出来る治療を受けさせてやろうと決意したわけです。今日の午後入院中の様子を見に行ったときには相変わらずの天然っぷりと落ち着きのなさで一見して病気とはわからないくらい元気は元気だったんだけど。まあ動物を飼うってことなんだもの、仕方ないわあね。
6年間日記を書いてきた中で最高傑作なんじゃないかと噂されてる奇跡の写真を再掲。どんなけ脳みそ震えとんねん。

早々に前売り券を買っていたのに何故か上映終了ギリギリに駆け込むことになってしまった古澤健監督『アベックパンチ』 (監督近影はこれでいいのか...?)を見に久しぶりにぎろっぽんへ。
原作は人気漫画らしいが読んだことがなく、映画を見て初めてアベックパンチとは手をつないだ男女二組がリング上で戦う架空の格闘技(手が離れたら負け)なんだと知ったのですが、そんな奇抜な設定も大して気にならない程まっとうにベタ(悪い意味じゃなく、川瀬陽太演じる記者のキャラクターとかボクシングジムの雰囲気とか)な青春映画で、うだうだした男子高校生たちが恋とスポーツに目覚めていく姿が夕陽をバックにきらきら眩しい素敵な映画でございました。じゃれ合う美しい男の子を眺めてるだけで楽しかったりしたんだけど、多分横浜辺りの風景も良かったし宇波拓の音楽もかっこよかったな。ただ、不法入国の女の子のエピソードがすごく良かったのに肝心のメインで活躍する主演の女の子の色んな要素があまりにも唐突で、87分の間では彼女が何者で何がしたいのかまったくわからなかったことがちと残念であった。くるくる回りながら戦う姿は感心したけど。あと、最後チャンピオンと戦う場面はないんかいとちょっとびっくりした...。不意打ちのルー大柴にもびっくりしたけど。
別に今更怒る気にもならないけど、なでしこジャパンって名前考えた人は一回しばきたいわな。
多分ここ数日で、映画美学校セレクション2011 に通い、深津望監督『どこかに落としてきた』(10年)磯谷渚監督『わたしの赤ちゃん』(10年)大工原正樹監督『破壊くん』(10年)『赤猫』(04年)万田邦敏監督『絶体絶命』(11年)冨永圭祐監督『乱心』(11年)を見た気がする。
前三作&万田監督作品は15分程の短編で、そうか今の若い人はこういう映画を撮るのかとちょっと意外な程ガチガチのフィクション感(『破壊くん』はガリガリガリクソンでいいんだよね?)にどこまで乗っていいのかわからず微妙に戸惑った。『絶体絶命』は、夏目漱石「明暗」の翻訳だそうだが、漱石の小説ってこんなだっけと不安になる程狭い室内で交わされる女たちのやりとりが不穏。あのふたりの関係性は結局何だったんだ。16ミリフィルムでがっちり55分の野心作だった『乱心』は、幾らなんでも全てが暗過ぎると突っ込みつつも自主映画とは思えぬ落ち着きっぷりと上手さで最後まで見せる、それが欠点のように思えました。で、以前から見たいと思っていたのにタイミングが合わず今回が初見となった『赤猫』、赤い猫って何なんだろうとずっと疑問だった謎が解けて嬉しかった。逃げ足の速い放火犯という意味だそうな。流産した女が語り出す猫と火事の妄想が、見てはいけないもののようなでも目が離せないような妖しさとエロさと緊張感の42分、面白かったです。新作『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』が楽しみです。最近よく映画でお見かけする森田亜紀さんと麻生久美子の声は似過ぎな気がします。
で、この間に奇跡のニュープリントでロベール・ブレッソン監督の『スリ』(59年)と『ラルジャン』(83年)を見て、もう今更私がこの映画に何か言うこともないだろうと静かに感涙したのですが、ただ一つだけ言わせてもらうと、上映してたイメージフォーラムさんが節電は結構なことだと思うけど鑑賞中扇子が手放せない程の暑さで。体が冷え過ぎるより全然いいんだけど駅からのあの坂を登りきった観客のためにはせめてもうちょっと。二本見終わった後には顔テッカテカなってました。
ぽんずさんは、後日改めて大学病院で詳しい検査を受けることになりました。こんな小さい体に手術とかできれば避けてあげたいんだけどねえ。マジ放送禁止レベルのヤバい顔になってるのに食欲に一切減退が見られないことだけが唯一の救い。
多分日曜日、一度試写で拝見した青山真治監督『東京公園』を改めて映画館のスクリーンで見るため、脚本を担当した練馬の巨匠に敬意を表して練馬のショッピングモール内にあるシネコンで鑑賞してみた。以前見たときにあやふやだったことを今回改めて確認してみたり驚いてみたりの感想、最後のIKEAのシーンで、三浦春馬と榮倉奈々が買い物をしてる奥の通路を三人の親子が横切った瞬間それが高橋洋と井川遥とその子どもだとすぐわかったのが印象的だった。はじめは染谷将太のことを三浦春馬の弟なんだろうと思い込んでいたりとかその将太くんが幽霊だとわかったときは春馬くんが尾行する井川遥まで幽霊なんじゃないかと疑ったりとかパーティーのシーンで宇梶剛が亡くなった妻の話をしたときに始めのうちはてっきり井川遥(写真家の方)のことを話してるのだと勘違いしてたりとか春馬くんと菜々ちゃんがふたりの井川遥の写真を見比べたとき一瞬別人に見えたのに春馬くんの部屋に飾ってあるカメラを持った井川遥の横顔はカメラを持った春馬くんに似ていると感じたりとか、今思い返してみても我ながらどうかと思う程たくさん勘違いや思い込みをしながら映画を見ていたので、最後の最後に遠目で見えた親子が勘違いや思い込みじゃなく絶対にあの三人だとはっきりわかって嬉しかったと言うか。三人が一緒にいれて良かったと安心できた。そしてちょいちょい泣いた。
そんなことを春馬くんの意外と逞しい体格にどきっとしたり私も奈々クンみたいな映画好きの彼女が欲しいわんと思ったりしながら見つつ、映画が終って場内が明るくなったときああなんかいい映画見たなあとしみじみ、一階のお総菜屋でおはぎと大福を衝動買いして帰ったのでした。
数日前、特に興味があったわけではないが夜に予定していたグルメ女子たちによるタイ料理の会に丁度時間がよかったのでドット・フィリップス監督『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える』 を見て結構楽しんだ、はずが、映画を地でいくgojoさんはその後見事に久しぶりの痛飲でまんまとハングオーバー、詳細な記憶が既に曖昧に。なんかごめん。
いや、偶然にもタイを舞台にした今回は、基本的なストーリーや構成は同じものの前作よりも下ネタの下品さがパワーアップしてて中々私好みだわと感心したんですけど今ちょっと調べたらこれもっと過激なR18バージョンと、一夜限りの無修正上映があったそうで、それ見ればよかったーと軽く後悔。沈黙のお坊さんも笑ったし、ザック・ガリフィアナキスはこのままミシェル・シモンみたいになればいいと思った。黒人の音痴ってのをマイク・タイソンの歌声で初めて聞いた気がした。
で、予定通りタイ料理→夜の街→朝帰り、して翌日飼い猫の顔を見てみたらもの凄いことになってたの。左半分が腫上がって目が斜視みたいになって鼻血出してて。いくら記憶がないとは言え私がDVしたわけでもない(と願いたい)だろうし、怖過ぎるので今から病院行ってきます。
前作の『スター・トレック』が素晴らしかったうえに今回はスピルバーグとコンビを組みつつオマージュを捧げてるということで、とんでもない傑作に違いないと見る前から大興奮していたJ・J・エイブラムス監督『SUPER8/スーパーエイト』 、新宿ミラノ座にて満を持しての鑑賞。ところが、いざ蓋を開けてみると、まさに「問題作」としか言い様のない奇妙な映画だったのでした...。
79年のオハイオ州を舞台に、8ミリフィルムで自主制作のゾンビ映画を作っている少年少女たちのジュブナイル的な瑞々しさや親子の絆を描いている、ように見えるのですが、 実はこちらが不安になるくらい112分間ご都合主義のオンパレードで、全篇ほんとにスカスカ。でも、初期のスピルバーグ作品って確かにご都合主義のオンパレードでスカスカなところだらけだった気がするのでこれはやなり忠実なのかなと思いつつ宇宙船の登場に期待してたら、『未知との遭遇』や『ET』ではあんなに大袈裟に空から降りてきた宇宙船がこの作品では電線や車の部品を盗んで作ったガラクタの寄せ集めで...。
ただ、ある意味最後まで全くブレずに完璧にスカスカなのは何かを狙ってやってるんだろうとは思えてきた(大切な母親の遺品であるペンダントがそこら辺のガラクタと一緒に飛んでいってしまうのとか、わざとじゃないと有り得ないし)。そもそも冷静に考えてみるとここまで露骨なノスタルジー全開で「傑作」になってしまうことの方がよっぽど不健康な気がするし(でもJJさんが何を狙ってるかまでは考える程興味はない)。エル・ファニングちゃんは驚く程素敵だったけど映画オタク少年集団&美少女ひとりという設定にも何か意図があると信じたい。
ちなみに私は8ミリフィルムカメラを触ったことがないのでその辺のリアリティに関しては何も言えないす。
『死ね!死ね!シネマ』でA先生の熱演を目撃したから、ってわけじゃないけど本日はパオロ・ベンヴェヌーティ監督(共同監督パオラ・バロー二)『プッチーニの愛人』 を見に行ってみた。9割お上品なおばさまで埋まった客席の中、最前列のど真ん中にタイガーマスクおじさん。本編開始直前にさっとかぶり物を脱ぐ姿は中々感動的だった。
それはともかく。プッチーニの音楽もろくに知らず、監督がストローブ=ユイレの弟子だとかなんとかという情報しか持たずに鑑賞したのですが、こんな凄い映画だとは。内容は事実に基づいたお話らしく、不倫を発端に始まる昼ドラ系ドロドロものなのに、セリフらしいセリフがほとんどない。 色男プッチーニの穏やかなピアノと数回交わされる手紙の文章だけで流れていく映画は怖いくらい美しく(スタンダード画面の真ん中に人という画が個人的にかなり好きという感動もあるけれど)。1908年のイタリアが舞台、映ってる木や河が既にいつのものなのかわからなくなってしまった。愛人と疑われたメイドの運命が哀し過ぎたけどいやあいいもの見せて頂きました。デジタル上映じゃなければもっと良かったのかしらん。
夜も更けて、渋谷のラブホテル街から何やら怪しげな映画の匂いがすると行ってみたらばそこは篠崎誠監督最新作『死ね!死ね!シネマ』の試写場であった...。お誘いありがとうございました。始まりは映画美学校の授業の一環としてスタッフも役者もほぼ学生、撮影期間は二日間&撮影場所は新美学校の中だけというルールで作り出されたというこの作品は、最終的(?)には夕張でのロケを追加した72分の映画になったそうな。英語タイトルは『DIE,DIRECTORS,DIE!』。
事前の噂で既に相当ヤバいことが起こっているという話を複数の人から聞いていたので不安と期待で胸いっぱい状態からのスタートだったが、冒頭10分、映画監督シマザキが自作の映画を野次られたことに逆上し大暴れするシーン(私も殺されたかった!)だけでもうこの映画は色んなものに勝ってるじゃないかとひとりで安堵し、その後に続くキレた女監督も虐殺シーンも殺戮シーンも幽霊の登場も生まれたての赤ちゃんが臍の緒で振り回される姿も狂ってるものばかりなのに不思議とかっこいいものに見えて。もちろんスタッフが学生さんということで技術的にはゆるいのかもしれないけれど、終盤本格的なホラー感が出てきてちょっと立派な映画になるのが少し残念に思える程前半のまっすぐな勢いが素敵で感動的。もちろん色々大爆笑もしたけれど。主演の森京子さん、たまたま先日お会いする機会があったのだがご本人の可愛らしいイメージとのギャップにだいぶびっくりした。
黒い眼帯をつけた女が映画のために愛と凶器を振り回す姿を見て一度は呪われておいた方がいい。公開は7月23日(土)から渋谷オーディトリウムさんでイブニング&レイトショー上映、だそうだが、今回見たバージョンが完成というわけではないそうで、私もまた改めて映画を見る目をくり抜かれに行かなければ。
これまたあまり通えなかったことが心残りだけど本日は個人的に今年の爆音映画祭最終日(多分)はソウルフライデーということで、一本目はマルコム・D・リー監督『ソウルメン』(08年)。日本未公開だそうなこの作品、見る前から勝手に真面目な音楽伝記映画を想像していたら、大いに裏切られた。いやもちろん超かっこいい音楽映画なんだけど笑いのノリが超お馬鹿で、白人親娘との下ネタのやりとりとかめっちゃ笑った(陰毛であそこまで引っぱる必要あるか?)。でも既に音楽界を引退した黒人親父ふたりが砂漠の中でステップを踏み出す瞬間とか、最後棺桶からライブシーンまでの流れと爆音で響くソウルにはつい涙腺が緩む。サミュエル・L・ジャクソンって芸達者ね。
二本目のマイケル・マン監督『ALIアリ』(01年)も、私、アリについてほんとに何も知らなくて、 宗教や政治に関する部分はお勉強しながらの鑑賞だったのですが、冒頭のライブシーンからサンドバックを殴る音に続く爆音はほんと圧巻で、あんまり難しいことを考える気が早々にはなくなってしまうもののウィル・スミスの常に少し困ったような表情とアリを取り巻く世界と映画にうううと唸ってる間に157分は過ぎて行った。マイケル・マンってこんな映画を撮っていたとは知らなんだ。アフリカでの試合前から響き出すあのもの凄い低音、爆音ではなく普通の上映だとどこまで感じられるもんなんだろうか。今回体感できて良かった。
あとは体力があればレイトショーで何回か爆音できればと思っているのですがとりあえず昼の部は本日で終了。今年も他では絶対無理な映画体験に全身で痺れることができて楽しゅうございました。色んな人にも再会できたし、また来年のお祭りが楽しみ。この数日間で一体タクシー代に幾ら使ったのかは冷静に考えないことにする。
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