私にとっては最早恐怖の対象でしかないんだけど芦田愛菜ちゃん、こういうのを本気で可愛いと言える人をある意味尊敬する。なので怖いもの見たさでSABU監督『うさぎドロップ』 に行ってみたらこれが意外と子どものうざい芝居が出しゃばらない映画で、まさかの、最後ちょっと泣きそうになってしまった。なんかごめん。かなりお久しぶりなSABU監督、こんな映画撮る人でしたっけか。
結構いいらしい原作漫画は未読だけれど前半が『天然コケッコー』風いかにも原作の面白エピソードを集めたエピソードの断片的な構成だったのが残念で、説明的な独り言を繰り返す主人公を、それでもイタくなく見せる松ケンはやっぱり器用な役者だなと感心するも、パンチパーマみたいな髪型に萌えきれず無念。全体的にも働きながら育児をすることや両親のいない子どもの問題などの核心部分がかなりスルーされてるけど、なんやろ、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』といい単に私が可愛い男子が疾走してる姿に弱いだけなのか(大泉洋も走りまくってたけど、可愛くないし)しつこく繰り返される松ケンが女の子を抱きかかえながら保育園に向かってダッシュする姿が悪くなかった。苦手な香里奈の出番が少なかったのも良かった。出しゃばらないとはいえやっぱり愛菜ちゃんは立派な女だった。しかし昨日の映画もこれも、主人公の大事な想いを無理矢理ナレーションで入れる必要はまったくないと思うんだけど、なんでそんなことするのかしらね。言わなきゃ観客が理解できないと思われてるなら失礼な話だわさ。

予告で流れた「サラリーマンNEO」の「劇場版(笑)」というセンスに、虫酸が走るとはこういうことかと身を以て体感する。

深夜にTVをつけたら丁度WOWOWさんで『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 (三浦大輔監督、ポツドールの舞台は07年「激情」を見て以来疲れるのが怖くて遠ざかってる...)が始まり、これが中々面白くつい朝の4時まで見てしまい、最低な役やけどやっぱ松田龍平かっこいいわ〜と熱が上がってつい橋本一監督『探偵はBARにいる』 に駆けつけてしまった。『茶々 天涯の貴妃(おんな)』は私としたことが未見。
雪の中を男たちが疾走しつつ殴り合いに入る冒頭でああこの人アクション映画に向いてない方なんだなと思ったらせっかくの龍平のパンチも全然かっこよく見えず無駄にイライラ、その後もイマイチ見せ場がないし、暴力や銃殺シーンをえらく頑張ってらっしゃるのはわかったけれど、北海道札幌の冬のススキノを舞台に昭和の匂い漂う異端な探偵が主演のアクション有り男の友情有り涙有りのドラマを、125分間ほぼ出ずっぱり大泉洋で引っぱるってのがまず難有り。クライマックスに花嫁姿で銃をぶっ放すのが小雪ってのもなんだかなあ。って言うかこのふたりって、世間ではえらい人気らしいけど実際に好きって言ってる人を見たことのない謎の二大芸能人だと思ってたんだけど、映画もなんだかそんな感じでした。たいして美味しくないのに大流行してるハイボールみたいな(そう言えばちょい役で吉高由里子も出てたな。上手いことまとまったな)。以上。
でも微妙な時間での上映にも関わらずお客さんは結構入ってたしパート2を予感させる終わり方だしで、人気シリーズみたくなってまた多数派との距離は離れるばかりなんだろうな。

で、数日前に見たバカハリウッド映画とはジョナサン・リーベスマン監督『世界侵略 ロサンゼルス決戦』 、のはずだが自分でも切ない程既に詳細は記憶の彼方に...。
いや、冒頭から、なんの説明もなくとりあえずブチぎれまくってる宇宙人、地獄絵図のように破壊されるロサンゼルス、とにかく戦闘シーンだけで見せまくるという勢いは嫌いじゃなかったけどいかんせんごちゃごちゃし過ぎ&いい加減長過ぎ、場内の空調が意味不明に暑く汗をかきながらの鑑賞だったため妙に疲弊した効果もあり、60分を過ぎた辺りで見てるだけなのに戦士ばりの疲労感、でも二時間近く(長い)頑張って最後まで戦ったというのにこの『ハートロッカー』的オチにはほんとスクリーンに唾棄してやろうかと思う程怒り狂いかけたのだが、しかし、見た後にこの監督が『テキサス・チェーンソー ビギニング』の人だと知ってものすごく腑に落ちた。多分この方は視覚的に面白い映画についてだいぶオタクだし勉強家だしお上手だと思うんだけど、本当に脚本とか物語に興味がなく(結局最後まで宇宙人ブチぎれの理由はわからんままやし)自分が見たいものを撮ることが出来れば満足なんだろうなと。だからきっとマッチョだとか徴兵映画だとか文句言っても本人全然気にしなそう、こんな映画見て泣くヤツの方が悪い(隣の客が号泣してて、マジでびびった)。

既に出遅れた感があるけどようやくジョン・カーペンター監督最新作『ザ・ウォード監禁病棟』(何故公式HPがないのだ...?)を新宿の方が近いけど銀座シネパトスさんで鑑賞。実は7、80年代アメリカ映画はかなり不得手分野でして、カーペンター先生の作品も未見のものが多いダメ人間なのですが、この映画が滅法面白いことはわかった。
66年のアメリカが舞台、情緒不安定な少女が怪し過ぎる精神病院の監禁病棟に収容されるや恐ろしい出来事が次々と...。もちろんホラー映画だけれど怖いことよりとにかくわあ凄いと感嘆することに夢中になってしまいました。あの主人公と幽霊がガチで戦うシーンなんて、思いっきり斧で殺し合ってるのに感動を通り越して呆気にとられてしまった。でも雨の夜少女たちがレコードに合わせて踊る姿にはちょっと普通に感動してしまったり。最後に彼女たちの正体を知ると更にええシーンに思えたり。途中、脱出するかと思わせてしない〜というループ感がちょっと不思議だったものの最終的にこういうお話だったらなんでも有りかと納得。婦長さんの見事な三白眼も素晴らしかったです。女子二人がダッシュして敵の前でブレーキかける姿もかっこよかったなあ。高校のとき体育教師からあれとまったく同じ方法でエレベーターで逃亡した経験あります。さりげなく60年代のファッションが可愛かったりするのでオシャレ女子にも楽しめるかと。懐かしの天六ユウラク座さんが思わず一日10回興行も納得の充実度、初秋におすすめ。

私としてはだいぶ頑張って13時渋谷に成功、なんとなくどうしても見たかった瀬々敬久監督『昭和群盗伝2 月の砂漠』(『破廉恥舌戯テクニック』90年)をImage.Fukushima vol2にて鑑賞、結果、頑張って早起きして見て良かったと納得の感動でございました。凄い映画だった。
226事件からの朝鮮人問題からのヤクザ紛いの土建屋絡みな原発利権問題を扱いながらも最終的にはめちゃくちゃ切ない女と男の物語、が62分に凝縮されているあまりにも濃い作品なんだけど、劇中でもろに「福島第一原発で死亡事故」という新聞記事が出てきたり、土建屋の手配師が「明日作業員20人すか!?まさかメルトダウンしたんじゃないでしょうねー」と軽口を叩くシーンがあり、全然笑えない。でももちろんピンク映画だから濃厚なセックスシーンはあるものの被爆者の男とやった女とは本番ではなく道具を使った行為しかしない、全然燃えない。
と今このタイミングで見ることに色々感じることも多々あったけれど(特に代表取締役的な個人的立場から)、原発ジプシーになり下がり放射能にやられた足をびっこ引きながら走る元マラソンランナーの中年男と国家に踊らされた元マラソンランナーの老紳士が川辺を疾走する姿、恋人に自殺された女子高生の赤いジャンパーの下の裸の美しいこと泣けること(最後に映る国会議事堂の気持ち悪いこと)、あまり真面目な観客ではないけれど今まで見た瀬々監督の作品で一番好きかもってくらい思いっきりハマってしまった。意外と叙情派。

なのでその数時間後に見たとあるハリウッド映画のあまりの軽さに頭がクラクラしたのだがそれはまたいずれ。

地震のときも昨日の台風のときもニュース見ながら本当に感心したんだけど、あんな混乱した状況で意地でも会社や家に戻ろうとする社会人のみなさんて真面目よね。無職的にはこんなときくらい居酒屋とかで事態が落ち着くまでダラダラしてればいいのにと思ってしまうんだけど。

大好きなケイト・ブランシェットが出ていると言うのでちょっと気になっていたジョー・ライト監督『ハンナ』 、意外と退屈せずに楽しめた。フィンランドの人里離れた雪山でひたすら戦う能力だけを父親に叩き込まれながら育った少女ハンナが16歳になり母を殺した宿敵を倒しに外の世界に出ていく。音楽がケミカル・ブラザーズだったり妙に気合いの入った長いワンカットがあったり、監督のかっこE映画撮りたい的色気がややむんむん過ぎると感じなくもなかったけれど、殺し屋ものとしても少女の友情ものとしても中々。いくらなんでもハンナちゃん強過ぎるんじゃないのと思った疑問もちゃんと解決してくれたし。『エッセンシャル・キリング』ばりの雪世界から突然砂漠のど真ん中に移動したりスリランカの街中に紛れたり、バカでかいコンテナも面白かったな。
クールにパーカーを着こなすハンナ役のシアーシャ・ローナンがなんとも不思議な顔をしててアクションもお上手で見てて飽きない。タイトスカートにハイヒールで冷酷なCIA演じるケイト・ブランシェット、狼の口から出てくる姿はかっこよ過ぎて笑ってしまうくらいだったけどよくこんな悲惨な役引き受けたなとちょっとびっくりした。エリック・バナが幸せな男を演じられる日は来るのだろうか。

ドラマ見たことないんで詳しいことはわからないけど『セカンドバージン』 の予告を見て思うのは、なんかもう、そんなに欲望丸出しにされても。

この連休は、渋谷で開催された「映画長話」刊行記念トークショーにて蓮實重彦×黒沢清×青山真治×万田邦敏の大変貴重な座談会を拝聴し青山真治監督『赤ずきん』と万田邦敏監督『面影』を鑑賞(上映機会の少ないレアな両作品、のはずが何故か両方とも数回目...)しこっそり紛れ込んだ打ち上げの席で完全に記憶をなくすほど酔っ払ったり(本当に、本当に申し訳ございません)、阿佐ヶ谷で開催された三宅隆太と継田淳の脚本家ガチトークvol1を両氏と面識があるわけでもないけど『七つまでは神のうち』以来三宅監督に興味津々丸なため真面目に聞きに行ってみたり。楽しかった、とざっくり。

なのでデモに行けなかったけれど本日はユーロスペースさんで開催中のImage.Fukushima vol2 にてアンドレイ・タルコフスキー監督『ストーカー』(79年)を鑑賞しながらぶるぶる震えてました。
突然その場所に出現した「ゾーン」、行ったものは生きて戻れない場所、そこを唯一案内できる「ストーカー」(彼の娘は両足がない)とそれぞれ事情があってゾーンに向かうことを希望する「教授」と「作家」。それまでセピア色だった画面がゾーンに入った瞬間カラーになる、色がついて鮮やかになったはずのその風景の本当に「死の街」としか言い様のない、草木は枯れ戦車は放置され人の気配のない世界。じっとりと確信の場所に進む三人をじっとりと映す映画はかなりホラー、「絶望」しか受け入れないという最後の場所に辿り着いたとき何が起こるのか、はみなさんも168分頑張って映画見てみて下さい。あー怖かった。
これがチェルノブイリ前に作られた作品である事実とか何を予言してるかとかとっくに色々言われてるでしょうが、やっぱりここまでの既視感はさすがに動揺。あの黒いワンコはとっくに福島から走り出してきてるのだろうか、なんてことを考えながら渋谷を歩いていたら黒いサングラスをかけたキアロスタミ監督とすれ違った。

若者に優しいgojoさん、を売りにしていこうとしているgojoさんは、今年の夏、映画美学校の学生さんに撮影のため家を貸したりしてたんですね。引っ越しレベルで部屋の家具を移動しかなりカオスと化した自宅で数週間過ごすのは大した問題ではなかったのだけれど、いかんせん朝早くからの撮影だったためほぼ初対面の若者たち10人強に寝起き丸出しの姿を見られたことは痛恨の極み。絶対みんな「こいつ普段と違い過ぎ」と思ってたよね。
それはともかく、その作品が無事完成したというのでオーディトリウム渋谷さんで開催された映画美学校2010年度修了製作実習作品発表会 にどれどれと向かい、15分程の作品5本を鑑賞したのですが、最近の学生映画って技術的にも内容的にも途中で目を覆いたくなるような酷いものには滅多にお目にかかれなくて、どれも普通に面白く見れてしまった。自主映画を見てよく思う、みんな不幸大好きやなあって感じはちょっとあったけど、特に気に入ったのは黒沢清監督も傑作と仰っていた酒井善三監督『おもちゃを解放する』で、DVのないところにDVを作り上げてしまう女たちという発想が新鮮で驚いたし、個人的にスクリーンプロセスに弱くて。森京子監督の『カーマイン』、脚本を読んでいなかったのでまさか自分の家がこんなおどろおどろしい場所に作り上げられてるとは。で、業務連絡、できればクレジットの名前は普通に全部漢字にして頂きたい(「喜子」です)。面倒だったらそのままでいいけど。

なんかめちゃくちゃお久しぶりな気がする日仏学院さんで開催中の第15回カイエ・デュ・シネマ週間 にて、ジャック・ドワイヨン監督『三人の結婚』(10年)を見てみた、が、上映直前にフランス語映画英語字幕と知りひとり静かにショック、なんとか自分を信じて見てみるも冒頭から思いっきり会話劇の予感、ああこれは残念な結果かと心折れそうになるも英語字幕を眺めてるとしょっちゅう「fuck」という単語が出てくるのに気付き、どうやらこのフランス人たちは真面目な顔してヤルかヤラないかの話しかしてねーなと想像、大変面白かったです(実は臓器移植についての話だったりしませんように...)。
引き締まった体のちょいワル親父(多分劇作家)の家に俳優の男女4人が集まって、その不思議な家の中でひたすらあらゆる組み合わせで展開されていく会話(もちろん意味がちゃんと分かればより楽しめたんだろうけど)、隙を見てはエロいことしようとしたりするバカバカしさの美しいこと。眩い緑の中でビンタし合いながらいちゃつくとか突然のショットガンとか、楽しいし。相当な年上ダメ男好きな私もハゲ親父が生娘の美し過ぎる裸に涙する姿にはさすがに笑ってしまったけど、あの裸を見た時の中年女性の表情は恐ろしかった。ルイ・ガレルが出てる映画をもっと見たくなった。
って言うかつい最近まで自分は生娘側だと思ってたけど違うすっかり「あの役を演じるには歳を取り過ぎている」と言われる側になってたのかと気付かされた映画であった。別にいいんだけど。

今日は、七月に出産したばかりの友だちに会いに逗子に行ってきた。何気にうんざりすることが多かったここ最近、ロハスな空気とピュアな赤ん坊にすっかり癒されて満足でございました。我ながら超意外な特技、赤ちゃんをあやすことは今回も健在。友だちにも「知り合って26年間で一番びっくりした」と言われた。そんなにか。

の前に、ジュリアン・シュナーベル監督『ミラル』を見たのだった(何気にこの監督の作品をほとんど見てるのだが『夜になるまえに』にスコリモフスキが出演してたとは気付かなんだ)。
イスラエルを舞台に、政治と歴史=男に翻弄された女たちの物語の中で生まれたミラルという少女の物語は実話だそうで、 見た後に知ったけどエリック・ゴーティエによる美しいカメラに映った戦うミラル演じるフリーダ・ピント(『スラムドッグ$ミリオネア』のヒロインの子)がかっこよく(好きな男を見るときの彼女の顔があまりにも恋全開で、多分あれは芝居じゃないと思うぞ)。中東の女子高生の制服が日本のとそっくりで(プリーツスカートにハイソックス的な)、そんな彼女が爆撃から逃げたり政治犯として捕まったりするのがなんか妙に衝撃的だったり。個人的にはきれいけどうーんカメラ動き過ぎとやや疲れたり音楽がちょっと感傷的過ぎたり前半の自費で孤児院を設立した女性の話が物足りなかったり幾つか不満は残るものの、決して涙を誘うような作りにはなってないのがよろし。ひたすら娘を守る父親は泣けたけど。
笑っちゃいけないと思いつつ、パレスチナ人とユダヤ人の嫁姑問題には女ってヤツはとつい笑ってしまった。

設計者がぱっぱらぱーだったとしか思えない程無駄に複雑な構造をしたビルにあるヒューマントラストシネマ渋谷にてロマン・ポランスキー監督最新作『ゴーストライター』をようやく。
自殺した前任者の代わりとして元英国首相(ピアーズ・ブロズナン、今回もホレボレする程のにやけ顔だった)の自伝の執筆を依頼されたゴーストライター(ユアン・マクレガー)が過去の経歴を調べていくうちに前任者の自殺の真相と元首相の隠された秘密を知って命を狙われるというお話なのですが、冒頭の夜の雨の波止場の船の車のカットだけでお腹いっぱいってくらいかっこ良く、その後も乗り物に次ぐ乗り物に乗ったり追いかけられたりしながら、あっさりしている部分とねちねちしている部分のバランスがとにかく絶妙で素晴らしかったです。主人公のユアンが微妙に真面目なようでテキトーなところとか脇役の描写が微妙に意味ありげなようでなかったりするところとか、最終的にも秘密の真相が解明されたようなされてないような。でも見終わった後にまでもぞもぞとした奇妙な感触が残るのは最近毎日WOWOWで見てた影響もあってかヒッチコックを思い出し映画自体はヒッチコックに影響を受けた監督だとデ・パルマよりシャブロルに近い感じ(数本しか見たことないけど...)だったと言えるような言えないような。なんてそんなことはどうでもよく、個人的にはキム・キャトラルがキャスティングされている(そしてあのお尻とブロンドもちゃんと活かされてる)だけで大満足だったりしたんですけど。ちなみに、ユアンの役名(?)自体が「ゴーストライター」なのでした。

いや伝説的映画監督の苦悩を理解できないのは自分の不勉強のせいかも知れないと最近お世話になりがちなZIGGY FILM70S にてテレンス・マリック監督『天国の日々』(78年)を見てみた真面目なあたし。
冒頭から、意味ありげなナレーションに本当に天国みたいな美しい映像...って『ツリー・オブ・ライフ』と一緒かい! と思わずベタな突っ込みをしかけたけれど、カネと愛に悩んだ女がカネを選ぶという下世話な話だった分まだこっちの方が面白かった。若き日のリチャード・ギア様が可愛かった。それでも、きらきら光る麦畑、横になる労働者たち、たくさんの馬や犬、うっとりする程きれいだったしこれはフィルムで見れて良かったと思ったけど、なんかいちいち大袈裟やなあとちょっと疲れてしまった。虫嫌いにとっては終盤かなりホラー。果たして今回も20年もダンマリする程何をそんなにウジウジ悩むことがあるのかは今イチ理解できなかったのだが、テレンスさんがとにかく少女が側転する姿が大好きなんだなということはよーくわかった。

そんなことより、この『グラントリノ』ランチボックスまじ欲しいんだけど。
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サービスデーがいっぱいでお財布に優しいシアターNさんで三宅隆太監督『七つまでは神のうち』 を見てみたんですがね、まあJホラーっつっても今更ねえと余裕をかまし上映前に挨拶なさってた監督さんもすごくご陽気な方っぽかったので軽い気持ちで臨んだらこれがもう。怖い、本気で怖い、32歳になっても振り返ったら日本人形とかマジ椅子から飛び上がる程びびるからやめてほしい、劇場で遭遇した高橋洋監督が背後にいるという特殊3D効果もあって、映画館を出てもしばらく最後の少女の叫び声が頭から離れない、独り暮らしの自分を呪った久々のガチな恐怖体験。
82分間、森や古い校舎を舞台に大袈裟なCGを使うわけじゃなくほんとホラー映画の教科書みたいな完璧な演出と、前半は複雑に絡む時間や場所が最後にはきちんと落ち着く脚本もさすがスクリプトドクター(具体的にどんな仕事か知らんけど)、単にぎゃーぎゃー怖いだけじゃなく最終的に恐ろしいのは神隠しでも凶器を持った殺人鬼でもなく小学生であろうとねじ曲がった女の根性という切ないお話、面白かったです。主演のアイドルちゃんたちも可愛かった、三人とも恐ろしい殺され方してたけど(あの鉄パイプのぬるぬる感はやばい)。残暑におすすめ。

それにしても、本編前に流れる予告が『アンダーグラウンド』や『トレインスポッティング』って、なんかそういうブームなの?一気に十代を思い出してこっ恥ずかしいから勘弁して欲しいんだど...。

既にこれを見た友人たちからとにかく一度見てみてと強く押されていたし先日のロカルノ映画祭でも話題だったみたいだしでイヤでも膨らみまくる期待を前提に真利子哲也監督『NINIFUNI』をCALF夏の短編祭という映画祭で鑑賞致しました。そしたらこれが期待以上と言うか期待してたものとは全然違うと言うか、久しぶりに見ながら動揺してしまうようなすごい映画で、いつもみたいに適当なこと言ってごまかせないな困ったなとピンチ。千葉の片隅を舞台に青年がひとり歩いたり運転したり自殺したりしてるだけの42分間なんだけど、こんな映画今までに見たことないかも(もちろん影響を受けてるだろう幾つかの映画のタイトルはすぐに想像できるけど)。
監督の『イエローキッド』は、そのわかりやすい暴力的な感じ(自分の日記を読み直したら「シブヤ系国道映画」と書いてて中々上手いやん私と思った)が嫌いではなく技術的な上手さも含め結構好きだったのですが、今回も宮﨑将が画面に映った瞬間から広がる死の匂いは半端ないんだけど既にそれが暴力なのか日常なのかわからない、冷めたポテトが食べたいのか食べたくないのかもわからない、今の日本で81年生まれの監督がこれを作ったという事実を喜んでいいのやら恐れていいのやら。それでもやっぱり「男の子」映画であることが微妙に残念な気もしなくもないが、今回は保留。
主演の宮﨑将を改めてやっぱ凄まじい役者だなと確認したのはもちろん、月永雄太氏によるカメラがほんと素晴らしかったです。あの夕暮れの海とかラストカットとか、日本でよくこんなの撮れたなと驚いた。海辺に流れるユーロビートがここまで人を不安にさせるかと、機会があれば見てみて欲しい(今作の前に上映されてた幾つかの短編アニメは、ごめんなさい、寝てました)。

あのキム・ギヨン『下女』(60)のリメイクと聞けば期待半分怖いもの見たさ半分でイム・サンス監督『ハウスメイド』を見に行ってみたら平日の昼下がりにしては半分以上の客入りで中々ヒットしてる模様。しかし内容は『下女』との共通点は主人公が女中ってことくらいしかなくね?って程大胆にリメイクされてるうえ『下女』の本気で狂ってる感が半減でだいぶがっかり。これなら未だ男尊女卑の激しい現代の韓国における労働者階級女と若さと美貌だけが売りのブルジョア女の闘い(そこで男は一切犠牲を払わない)という真面目な映画として普通に作れば良かったのに、ラストで無理矢理トンデモ感を出さなくてもと。人間の体がいきなり燃えるのは別にいいけどたいして面白くないしラストシーンもなんだかなあ。生まれたときから住み込みのハウスメイドがいた私としては有り難いオチでしたが。
舞台となってる漫画みたいな大豪邸とかやたらとエロい家政婦の衣装とか、作り込まれたフィクション感はいいなと思ったけれど、なんて言うの、最近の韓国の監督さんて成功してない耽美趣味みたいな映像を撮りたがる人たまにいるよね。と書きながら具体的な例としてはキム・ギドクぐらいしか思い出せないけど。個人的にはまったく趣味じゃない。それでも日本映画よりは立派だと思ったのは結構有名な女優さんが惜しげもなく裸になってるところ。しかも美しい。深津絵里もこれくらいやってほしかったすね。男優の肉体のマッチョっぷりもお見事でした(フェラチオされるとき絶対両手を広げるという設定にはちょっと笑ってしまった)。

監督の福間健二氏は詩人としても活躍なさってるとのことだが失礼ながら全然存じ上げないまま『わたしたちの夏』 を見てみた。
もう若くはない独身女カメラマンの、別れた男とその娘との混乱する時間を詩の朗読や鈴木一博による美しいスチール写真のような映像で見せてくれるのですが、いかんせんアートというものにとんと疎いgojoさんには到底理解できる世界ではなく、途中からお手上げ。と言うのは嘘で、アートっぽいことやってるわりには全てがわかりやす過ぎてちょっと恥ずかしゼミナールだった。ゴダールが好きなんだろうなということは伝わったけど、「私の心の闇は真っ暗なままだよ...」「だからかっこいいんじゃん、あんた」的な会話を素で展開するアラフォー女子とは絶対友だちになれないし。原爆や9・11を扱ってるわりには映画のために簡単に人殺すのもどうかと。なので本当に何もわかってなさそうな女子大生の娘が出てくるシーンにはしばし癒された。あと、日本人中年男性のタンクトップ姿が無理だな私と新たな発見もあり。
なんて、劇中頻繁に繰り返される「水を下さい」という台詞を聞いても既にヘレン・ケラー(北島マヤバージョン)しか連想できない私に高尚な芸術を語る資格があるなんて自分でも思ってませんが...。

怖いよー怖いよーと震えながらやっと『アンダー・ザ・ドーム』上巻読了。どうかハッピーエンドでありますように。

なんかひとりでバタバタしてる間にすっかり九月なのねー。今年はカナザワかヤマガタかと悩んでたけど自分と猫の体調が今イチ安定しないため遠出するのはしばらく無理そう、がっかり。なのでせめて東京の祭りには顔を出そうと映画美学校映画祭2011 にフラフラ行ってみたらまさかの立ち見御礼でびっくり。なんとか座れたけど。
美学校の学生さんとのコラボレーション作品古澤健監督『love machine』、生まれながらに女好きの男が幽霊の女にまで愛してしまう、中々切ない恋愛映画。相変わらず色々笑えるところがあってふざけてるようで、実はかなり真面目に作られてる映画でちょっとびっくり。会話シーンとかかっこよかったです。『アベックパンチ』でも素敵だった小島可奈子さんがここでも大変エロ可愛らしく、宇波拓による音楽も良かったな。
こちらも学生さんとのコラボレーション作品高橋洋監督『旧支配者のキャロル』、 冒頭から邪悪な人間集団にしか見えない映画学校が舞台、その後も冷静に考えたら学生が自主映画撮ってるってだけの話なのにこの世の終わりかって程禍々しく、ぬああやっぱりすごいなあと思いっきり感心。私ごときが言うのも申し訳ない気がしますが、上手い、としか言い様が。美学校映画とは思えぬ(失礼)撮影や照明のレベルの高さも月影千草みたいな中原翔子さんも凄かったです。この二本を合わせて一般公開予定らしいので、その際には怖いもの見たさで是非。
終了後参加した打ち上げが、個人的に映画仲間とゴールデン街仲間が融合してて変な場所で面白かった。そして初対面の若い人に「日記読んでます」と言われるのは大変ありがたいけれどさすがに自分でも忘れてる程細かいことまで覚えられてるとどきっとしますね...。