上映時間の合う映画がほんとにこれしかなかったんです、という言い訳と共に、パートナーをツレと呼ぶ感覚と、この宮﨑あおいに課せられてるビジュアル的イメージにも一言、嫌いと言っておく。ついでに、堺雅人という役者さんの笑顔が生理的にマジで無理。で、佐々部清監督『ツレがうつになりまして。』を見ました。
冒頭からのイグアナ目線に主人公が鬱病ってまさかの『バッド・ルーテナント』!?と一瞬期待するももちろん1000%裏切られ、以降言いたい文句はひたすら溜まっていくばかりだったのだが、とりあえず、一緒に生活してる旦那が突然鬱になりました、ってこと以外本当にドラマもなければ大きな事件が起こるわけでもない121分間(長いのなんの)が最終的に難病もの風泣ける映画に作られてるというタチの悪さは笑えない。途中で出てくる鬱病を誤解してるマッチョな兄を批判的に映してるつもりが映画自体がその兄みたいになってますからと呆れてしまった。それと、川村元気的やかましさも苦手だけど、この日常の描写を装った緊張感のない画面垂れ流し系映画ってのもそろそろ誰か止めてほしい。なんの面白味もない絵日記とか、要るか?それと、普通に考えて、20代の女子が旦那が鬱になって一番最初に相談するのが自分の親って、こいつどんなけ友だちいてないねんとずっこけると思うんだけど。そういう、脚本的にそこおかしいって誰か言おうよと突っ込みたくなるポイントが異様に多かった気がする。そして、誰かあおいちゃんの後れ毛をピンで留めてあげて。
それにしても、本当に一ミリも魅力がわからない俳優をスクリーンで二時間以上見るって想像以上に苦行なのね。笑顔以上に泣き顔も無理だった。ラストに梅沢富美男先生が夢芝居でもしてくれればまだ助かったのに。疲れた。
とにかく面白いと噂のルバート・ワイアット監督『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』 をようやっと見てみたんですけどね、これはもう、こんな映画作るなら面白くないとダメでしょうの連続で、まあだから面白かったんだけど、予告を見た時のドキドキ以上のものはなかったとも言えるような。
異常に知能の発達したチンパンジーたちが飼い主には愛情を示しつつやっぱり不当に抑圧する人間たちにNOを突きつけ反乱を起こし街で大暴れ、と猿じゃなければ過去に何回もどこかで聞いたことあるような弱者の闘争物語、アクションシーンもすっごく冴えてるってわけじゃないと思うんだけど妙に興奮してしまうのはやっぱりチンパンジーの姿だからか。だいたい、動物が何かを訴えるような目でこっちを見てくるだけで思いっきり心鷲掴みにされるし。生まれたてのシーザーくん可愛過ぎるし。最終的に絶対私より身長でかそうになられてちょっと怖かったけど。二時間以内にあっさりまとめてくれたのは良かった。結構お気に入りのジェームス・フランコくんにはもうちょっと活躍してほしかったような。
ところで、私は大元の「猿の惑星」をきちんと知らないのでちょっと疑問だったのですが、この後地球を征服し出すチンパンジーたちが今回で既にシーザーくん指導のもと人間を殺すことを選択してしまうということは、結局猿も人間も同じだったという落ち着き方でよろしんでしょうか。なんとなくそれは残念な気もするけど。
多分二日前、渋谷アップリンクで開催されたnobody cinemalink vol.11 にて佐藤央監督『MISSING』を鑑賞し、監督×万田邦敏監督のトークを拝聴した。映画は以前にも一度見てるので感想は省略しますが、その後のトークではまさかのランジェリーフットボールが話題の的に。万田監督からはランジェリートークなる提案まで出てきて、俄然盛り上がりの模様。もちろんショットや女優の存在に関する興味深いお話も色々あったのだけれど。
そしてその後の打ち上げを素足にホットパンツ姿で始発を迎え、当たり前のように翌日風邪を引いてダウン。
の前に、渋谷ヒューマントラストシネマさんでひっそり公開中の冨永昌敬監督最新作『目を閉じてギラギラ』を見たのだった。哀川翔主演なうえ、いかにもな広告のイメージに人に聞くまで冨永監督の映画だとは気付かなかったぐらいなんですが、これがかなり面白く、個人的には今までの作品の中で一番好きかもくらいに興奮してしまったのでした。
任侠もののような野球ドラマもののような不思議な脚本に、あだ名がガンジーという、暴力が嫌いでヤクザから足を洗った哀川翔がイカす兄貴なのはまあ当然として、アテネフランセの舞台挨拶を目撃して以来勝手に親近感を抱いてる綾野剛がこんなにコミカルでキュートな芝居が出来る人だとは。杉山彦々との掛け合いには久しぶりに日本映画のリズムにイライラせずに笑えたし、細かい台詞のずるいくらい面白い(「お母ダーン!」には吹き出してしまった)。脇のチンピラ演じる役者さんたちもみんな良く、冨永監督はやっぱりビッチを可愛く撮るのがお上手。ゴルフクラブ一本でヤクザの抗争に繋がるすごく大胆な話の展開にはちょっと驚いた。
120分以上ある(多分)けどそんなに長さを感じさせない、 20時半からのみという中途半端な上映時間ですが、お勧め。
キノハウスに入る前にと(ソフトバンクの電波が入りにくい円山町にある建物)向かいの道路でメールしてたらキモいおっさんに客待ちしてる売春婦と間違われたのでそうじゃないよフランス映画の現在を見に来たんだよとの旨を伝えてからオリヴィエ・アサイヤス監督『レディアサシン』(07年)を初めて見てみたらなんとなく笑えない内容で、まあ面白かったからいいんだけど。せめて客待ちレベルじゃなくて指名でいっぱいくらいにしてほしかったかな。
元娼婦らしい女殺し屋が可愛らしい顔とは裏腹に体ひとつで男たちを裏切り裏切られパリから香港から逃亡、動き回るカメラにも『デーモンラヴァー』ほど疲れなかったのは音楽がおとなしかったからか(それでもものすごく不穏な音は始終響いてたけど)アクション映画として興奮できたけど、やっぱりアサイヤスさんの映画にいつも感じる、露悪的ってわけじゃないのに見てる途中でもうやめて!って言いたくなるような女の切なさにひとり息苦しくなってしまった。超怖そうなキム・ゴードンに対してヒロインが全然強そうじゃなく、いつも薄着で、人を殺した後にこすい万引きをする姿がなんか泣けた。でもやっぱりラストには盲人の一歩があって、彼女が幸せになれることを願わずにはいられず。でもやっぱりフランス人てそんなに変態プレイが好きなのかしらとちょっと気になってしまった。いつかフィルムで見たいなあ。
あーランジェリーフットボールおもろい。映画化権買いたい。フットボールのルールも知らんけど。
昨日は、東京国際映画祭の華やかなムードの中ほぼ満席の劇場で杉田協士監督『ひとつの歌』を何度目かの鑑賞。さすがはぎろっぽんのシネコンだからか、今まで鑑賞した中で群を抜く映像の美しさと音の鮮明さで、今回初めて気付けるような細かいところまで見えて、改めていい映画だなと思いました。
今日は、10月25日はパスタの日だと言うので(らしいです)どんな内容かも全く知らずにフェルザン・オズペテク監督『あしたのパスタはアルデンテ』 を見に行ってみたら、ただ主人公がパスタ工場の跡取り息子という設定以外ほとんどパスタが絡んでこない詐欺めいた邦題だったものの、映画自体はとても素敵なイタリアンだったので結果的には満足。
冒頭、白いヴェールとウエディングドレスをはためかせながら大股で歩く花嫁が突然銃を構えたかと思うとその数分後には主人公が兄弟揃ってゲイをカミングアウトって、一体これから何が起こるんだと軽く動揺するも、どんなに周囲に反対されても理解されなくてもやりたいように生きて良しとかっこいいおばあちゃんが糖尿病の体を張って教えてくれる。スイーツに囲まれて死ぬって悲壮感がなくていいなと感心、全体的にも同性愛やメンヘル女や笑えない過去を持った妙齢の女性など結構ヘビーなものが出てくるのにどこか陽気なのはやっぱりイタリアのお国柄なのかしら。どこの国でもオカマってのはうるさいもんで保守的な親父ってのはうざいもんみたいだけど。
ひとりの女性のお葬式と結婚式が同時に現れるラストも静かに感動的で、今シネスイッチ銀座さんではこれと『さすらいの女神たち』が同時に上映されていて、両作品とも邦題さえ何とかしてくれればという悔いは残るもののいい組み合わせじゃないでしょうか。
公開当時バカ高校生だった私は何このオザケン気取りなタイトルとひとりプリプリして見ずじまい、以降10年以上待たされることになってしまったもののようやくアルノー・デプレシャン監督『そして僕は恋をする』(96年)をシネマヴェーラさんでの「フランス映画の現在」特集にて恥ずかしながら初体験。しかしこれを十代の頃に見ても何が面白いのか多分さっぱりわからなかっただろうから今見れて良かったかなとは思ったけど、でももっと前に見てれば以降のデプレシャン作品がより楽しめただろうにと悔しい気持ちもあり。ロビーに制服姿の女子高生がいたけれど、彼女には立派に育って欲しい。
優柔不断でろくでなしの大学講師があっちの女でもないこっちの女でもないとうだうだしてるだけの178分間は、今じゃすっかり大人の色気なマチュー・アマルリックの若々しくてつるつるした顔がころころ変わる様を見てるだけであっという間に過ぎていきそれはそれは幸福な時間だった、のですが、女優の顔が個人的に悉く好みじゃなかったことだけが残念。エマニュエル・ドゥヴォスって、いつもほんわかしたちょっと抜けてる感じの役を演じてるけど、それにしてはなんと言うか、骨太感が強過ぎて、どうもしっくりこないのは私だけなのでしょうか。声はめちゃくちゃ可愛いと思うんだけど。
15年前の映画なのに、今見てもファッションやメイクや流れてる音楽にまったく違和感がないのは、さすがおフランス映画だなあと感動しました。
昨日は第三水曜日だもの。とは言え診察予約をブッチするわけにはいかず朝からせっせと大学病院に行ってしまったんですけど。そして夜は「家政婦のミタ」にハマったりしてたんですけど。誰か長谷川博己という役者さんにもうちょっと体にボリュームつけた方が絶対にいいと伝えて欲しい。
みなさん、イタリアって1978年に法律で精神病院が禁止された素晴らしい国だって知ってました?私は知りませんでした。なのでそんなイタリアの事情が気になってジュリオ・マンフレドニア監督『人生、ここにあり!』 を見てみた。
その法律(バザーリア法)が施行されて数年後を舞台に、病院が閉鎖されたとは言え引き取り手のない患者たちは結局病院みたいな施設に幽閉され続けてるんだけどそこに病気や治療にはまったく無知の労働組合上がりのおっさんがスタッフとしてやってきて彼らに働くことやお金を稼ぐことを提案し熱血に奮い立たせ始めは怖がっていた患者たちも最終的には床張りの仕事でみんな元気になるのだったという実話を基にしたお話がなんてことない作りに仕上がってるんだけど、泣いた。
長期にわたるオーディションでほぼ素人から選ばれたという患者演じる役者たちも中々良くて、自閉症役の人がホアキン・フェニックスみたいだなと思ってたらちゃんとそういう役回りで嬉しかった。薬を減らし心身共に元気になった患者たちがやらせろ一揆を起こすのも素敵だったけどワガママを言えば女性患者も参加して欲しかった。後半ちょっと話がとんとん上手いこと進み過ぎかなと引っ掛かりつつも、労働や女性問題に関する細かい問題にも丁寧に目配せしてる優れた脚本だなと感心、ツレがうつになったくらいで騒ぎやがって、なんでこの程度のことが日本では出来ないんだろうと鬱々。
試写で拝見した自主映画『症例X』が結構好きだったので吉田光希監督メジャーデビュー作『家族X』もちょっと期待して向かったのですが、前作同様ほぼ会話らしい会話がなく進んでいく今作は、その内容のせいかあまり成功してるとは思えずやや残念。
『症例X』はその世界をXとしながらも映画の中の息子と母の存在がこのふたりにしか有り得ないものだということがびんびんに伝わってきたため会話がなくてもスリリングに見れたのだけど、『家族X』は、東京郊外の新興住宅地を舞台に、リストラ寸前のダメ夫といい歳してフリーターのダメ息子と暮らす潔癖気味の妻がだんだん心のバランスを崩していく、ってXを単純化し過ぎ、あまりにも散々見たことのある筋書きなを伝えるために台詞がなくても映像が十分過ぎるくらい説明的に見えて。腐っていく水とか枯れた植木鉢とか過食嘔吐とか、そこまで親切じゃなくてもと思ってしまったとさ。って言うか、母親の前では反抗的でも実は真面目に肉体労働してるって一般的にめっちゃええ息子だと思うんですけど...。
ドキュメンタリー風を出すためかカサヴェテス風を出すためかとにかく始終カメラが手持ちで被写体と近い(基本的に肩越し)のも途中で少し疲れてしまい、妻が暴れるシーンは近過ぎるし揺れ過ぎるしでピントあってないしでマジで何が映ってるのかまったくわからなくなってしまっていたのは狙いだったのだろうか。南果歩演じる妻が化粧っ気もなくやつれていって、だんだん男か女かわからないような顔になっていくのはちょっとホラーで怖かったです。あと、自分が触ったきっかけで会社のパソコンがウィルスにやられる父親の姿ってのはさすがに情けなくてひどく可哀想でした。でも自分がめっちゃああいうことしそうなのはわかる。
家族Gの近況、猫が猫舌というのは嘘だと思う。ちょっと引くぐらいの勢いで風呂の熱湯を飲むのがマイブームな雌猫。

熱湯にあまり興味はないが、とりあえずいる癌猫。
まあ32年も生きてりゃ何が起こるかわからんもんで、残念だけど、ほんまヤマガタ行ってなくてよかった。
叔父のお通夜とお葬式は粛々と行われた、わけがなく、久しぶりに大集合した我が一族のクレイジーっぷりを改めて確認する貴重な機会でございました。とりあえず、在日丸出しの親戚連中(クローンみたいなパンチパーマのばあちゃんが4、5人いてややこしい)から50回くらい「もう結婚は諦めるからさっさと子ども産め!」と「ほんまにパパそっくり!」と言われた気がする。
そんなこんなで無事帰京、ほぼ一週間ぶりの映画には公開前から楽しみにしていたウィル・グラック監督『ステイ・フレンズ』 をチョイス。奇しくも主人公の素敵なビッチ、ミラ・クニスちゃんは『ブラック・スワン』でナタリー・ポートマンのライバル役を演じていたけれど、今作の内容はほぼそのナタリー主演のラブコメ映画『抱きたいカンケイ』にそっくり。気の合う男(『抱きたい...』は離婚間近のアシュトンくん、今回はジャスティン・ティンバーレイクくん)と恋愛感情抜きのセックスだけで関係を持つことは可能かというテーマに対し、『抱きたい...』は息子と父の関係を監督の実生活を彷彿させつつ現役バリバリの父の存在を自虐的に裏テーマとして語るのに対し『ステイ・フレンズ』は父親のアルツハイマーによって息子に感情の変化が現れ...、というゼロ年代のラブコメに関するガチな分析なんて誰も求めてないと思うので割愛しますが、やはりアメリカのラブコメは私を裏切らず、かなり良い映画だった。『抱きたい...』が基本的にLAでの物語なのに対しこちらはNYを舞台にしてるせいか全体的にナウなアッパー度が高く、心神深い彼女が初めてのセックスに愛がないことを誓うためiPadの聖書アプリを起動する(向きが定まらなくて難儀する)シーンではつい爆笑、あと、あの「HOLLYWOOD」での撮影も今まで見たことない感じでびっくりした。私は情緒不安定でも有能なヘッドハンティング業でもないけど、ラストのグランドセントラル駅でのダンス、やっぱりああいうのはグッとくるよね。でも基本的に会話シーンはこれでもかってくらい切り返し。
イカれたゲイの上司がウディ・ハレルソンってのもいいし、パトリシア・クラークソンの出てる映画はだいぶ打率が高いということにも気付けた。かなり引っぱるセックスシーンでもミラちゃんは乳首のひとつも見せてくれないのがやや心残りですが、お勧め。
『On Tour』という英題に対し『さすらいの女神(ディーバ)たち』という邦題はほんとにどうかと思うけど、マチュー・アマルリック監督作品初体験は素晴らしいものでございました。私の映画の好みを知ってる人が見ればすぐにわかると思うけど、あまりにも何もかもが好き過ぎて、感動を通り越して最終的にはなんかむかつきすら覚えてました。人間てワガママな生き物ですね。
ドラッグクイーンみたいなストリッパーの女たちが電車に乗ってフランスの港町をツアーするロードムービー、もう若くもなく美しくもない彼女たちの姿がとにかく瑞々しくて感動的なこと。宅配ピザが届いただけで一等宝くじでも当たったんかってくらい歓喜する可愛さ。女の子がいっぱい出る映画を作りたいなら『モテキ』の監督さんもこういうの見ればいいんじゃないですかね。もちろん彼女たちのマネージャー演じる情けないカエル王子のマチューの魅力も凄かったけど。最後、タバコの火をつける優しさに落涙。いや、実はかなり前から泣きっ放しだった。
前半、さすがにあまりにもカサヴェテスな感じにこれ最後まで続けられたらちょっときついなと思いかけるも、実際にダンサーだと言う出演者たちの、本当にマンガのベティちゃんみたいな体型で裸になって繰り広げられるゴージャスな舞台を眺めてるうちにまあそんなことどうでもいいかと思えてきて、111分と言わずもっともっと続けてて欲しい気持ちになりました。ほわほわ。
と、思いっきり浮かれていた気分が一変、大阪から叔父が亡くなったという訃報が入ったため明日からしばらく帰省しやす。また来週。
なんてね。実はもうだいぶ前に爆音上映で見たはずのヴィム・ヴェンダース監督『パレルモ・シューティング』 の感想をうっかり書き忘れてたので今更。
映画の冒頭、部下に対して偉そうに無茶な命令をしたりクラブでちゃらちゃら女をナンパしたり黒ブリーフいっちょうの姿でうろうろと歩き回るちょいワル風売れっ子カメラマンの主人公(カンビーノ)の姿がだいぶ不愉快で、先の展開が不安でしょうがなかったのですが、そんな彼があるきっかけでパレルモ=はじまりの港を訪れて、街を散歩したり、絵画の修復をしてるヒロイン(ジョアンナ・メッゾジョルノ)と出会いながらゆっくり変化していくにつれ、段々と私の心も落ち着きを取り戻し、引き込まれていったのでした。
わたしゃヴェンダースが1994年に出した写真集「かつて...」が好きでねえ、そこに書かれていた、被写体に向けてシャッターを切るという行為はショットガンを撃つのと同じでその反動がすべて自分に跳ね返ってくるものなのだ、とかなんとか言ってた文章(うろ覚え)を時折思い出したりするのですが、その影響もあってか、カメラを構えた主人公と主人公を執拗に付けねらう弓矢を構えた死神(末期癌全開のデニス・ホッパー)が対峙するシーンはまるで西部劇みたいだなと思ったりした。ラストに主人公と死神の間で交わされる「お前はおれで、おれはお前自身なのだ」とかなんとか言ってた台詞(うろ覚え)もどこか写真集の文章と共通するところがあり、昔ほどの人気はなくなってしまったかも知れないヴェンダースさんだけど良い意味でずっと同じなんだなあとちょっと感動させられました。私が見たのは吉祥寺だけど新宿Ksシネマさんでは10月14日まで公開されてるようなので、まだまだ是非。この作品に関するDOOM!くんたちによる樋口泰人氏インタビューも合わせて読まれるとよろしいかと。
なんかもう、ちょっと申し訳ない気持ちになってくるくらい苦手な満島ひかり主演だけれど見に行ってみた清水崇監督『ラビットホラー3D』 、3D作品のレディースデー料金は1400円だそうですよ。
見ながら途中で気付いた、これ劇中で登場人物たちがほとんどまともな会話を交わさない(ヒロインは口がきけない設定)、ひたすらループする時間と場所と螺旋階段だけで陰惨なラストまで引っぱる、何気にアグレッシブな脚本だなと驚きました。うさちゃんの着ぐるみの中から緒川たまきって画もかなり斬新、クリストファー・ドイルによる暗い日本家屋も中々。しかし一番驚いたのは、劇中の映画を見てるシーン、そこで流れてるのが監督の前作(『戦慄迷宮』)という事実、じゃなくて、3D映画の中に3D映画が出てきて主人公が見てる3Dと私が見てる3Dがひとつになってあわわわーって感覚。よくこんなこと考えるなあと感心させらたしだいぶ混乱した。
会話はないものの、冒頭の瀕死のウサギ(一般のお客さんはあれだけでだいぶ引くと思うけど)から『ザ・ウォード』風オチに落ち着くまで、ただ不安でしかないどこまでが現実で妄想なのかわからない世界、おめめの大きなうさちゃん着ぐるみが突然邪悪な顔になる恐怖、面白かったです。苦手とは言え満島ひかりはいつか幸せな死に方(そんなものがあれば)ができる日は来るのだろうかと他人事ながら不安になりましたが。
大学の先輩つながりで、先日映画自体のHPをリンクするの忘れてて失礼おば。杉田協士監督『ひとつの歌』。
朝っぱらから久しぶりに自分で自分をしばきたくなるような大ドジをやらかしてしまい、ボロボロになった心をギャル神輿にでも慰めてもらおうと大根仁監督『モテキ』 を見に行ってみたのですが。原作漫画も人気ドラマも全然知らないんで詳しいことはわからないけど、わたしゃほんとにこういう退屈恐怖症系映画に興味が持てなくてねえ。まくしたてるモノローグに流れっ放しのJ-POP、CMやPVの尺なら楽しめるけど、川村元気さんとは多分気が合わない。突然のミュージカルは全然いいけどさすがにPerfume一曲分は長くてだるいしせめて女優が泣いてるときくらい静かにしてやれよと思ってしまった。泥まみれのラストシーンなんかに騙されないよ。あと、こういう本当にごく一部の世界のごく一部の世代にしかウケない感覚を今時映画でやる意味もよくわかんない、ドラマでやっててほしかった。映画監督(男)は長澤まさみにナマ足を出させたい生き物なんだなってことがわかったのと、在日ファンクのライブシーンでちらっと演奏する友だちの姿が見れたのはよかったです。最近のマイブームは橘いずみです。
内容的にも、モテない草食系童貞男子の主人公の自意識爆発のままでいけばいいのに中途半端に麻生久美子(イタいアラサー女子)に寄り添う優しい目線になんかイラッと。牛丼ってあんなに白米と肉を別に食べるもんなんですか?人生で一度しか吉野家行ったことないからわからないけど。さすがに唇の端に米粒はつけなかったけど。多分監督さんはすごくいい人なんだろうとは思うが、僕たち特有のダサさやイタさもひっくるめて面白いでしょってノリがちょっとイタい。
森山未來君のさすがの身体能力は素敵だったし長澤まさみクンのだらしないエロさも色々既視感で半笑いできたけどこんな映画を面白がるってなんだかなあ、とややキレがちなのは単に最後のブギーバックがオザケン信者には冒涜に思えたからだけかも知れない。あのTシャツ20年前私も着てた!
でも観賞後つい草食系男子に向かって長澤まさみの物真似をするも「不愉快」と一蹴された私が負け。
既に試写で見せて頂いてるけど癖になる味大工原正樹監督『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱(こ)を使う』 をもう一度見に夜のオーディトリウムさんに行ったらえらく盛況で何より。
このタイトルからは相変わらず想像のつかない怖いけれどなぜかキュンとさせられる内容とチャーミング過ぎる長宗我部陽子さんとくたびれた千葉の町の面白さはについては一度書いたので省略させて頂きますが、ほんとつまらないメジャー日本映画を見るお金と時間があれば絶対こういう作品を見た方が人生のためかと思われます。
そしてプロジェクトDENGEKIと名付けられた若手監督たちの併映作品のひとつである渡辺あい監督『電撃』も一緒に見たのですが、これがまたびっくりする程面白く。今回の上映のために作られたという36分の作品、初監督作とは思えない上手さと大胆さに見てて勝手に嬉しくなってしまいました。監督がキルスティン・ダンストに似ているのも私好み。
内容や雰囲気は、上映後の渡辺監督×古澤健監督×屑山屑男さんのトークショーでも思いっきり名前が挙がってたけど、キム・ギヨン『下女』や土曜ワイド劇場、またはドロドロ系昼ドラを思い出させる不穏な世界。すごく映画向きな一軒家を舞台に生きてるんだか死んでるんだか分からないちょっと狂った家政婦とイケメン小説家とその妹の三人しか出てこない一歩間違うとギャグにもならないどフィクショナルな空気は映画美学校の講師陣の影響が大きいんだろうけど、全然そこで止まらずに暴走してて素敵。キャスティングの見事さにも感心致しました。『ホトホトさま』は10月8日(土曜)までの上映なので駆けつけるべきなのはもちろん、『電撃』が併映されるのは5日(水)と最終日8日だそうなので都合が良ければ見てみることをお勧めしますよ。
特に好きな監督でも俳優でもないけどお気に入りの池袋東急さんで上映してたのでポール・ハギス監督『スリーデイズ』 を見に行ってみた。
愛する子どもとともに幸せに暮らしていた大学教授の妻が突然殺人容疑で逮捕され罪が確定、無罪を信じて疑わない夫はなんとか妻を取り戻すため脱獄計画を企てて。スリーデイズというのはちょっと誤解のある邦題な気もするが、とにかく妻が遠くの刑務所に移送される告知が突然3日前に届いて、色々調べた今の刑務所からじゃないと今更別の場所とかもう無理やしという事情によるスリーデイズ。そのリミットの中で家族を助けるためなら人も殺すラッセル・クロウが思いのほかドジで馬鹿でアクション以外の部分でもハラハラするのだが、まあアクション映画としても過不足なく楽しませて頂きました。どうにも苦手なポールさんの正義感も今回はそこまで暑苦しくなかったし、やる気満々で臨んだ脱獄をいざ実行してみると妻がドン引きってのはちょっと笑った。でもこれで妻が実は殺人者だったというオチならもっと面白いのにとロクでもない私は想像してしまったが。
既に普通に立ってても脇がしまらない程マッチョになるってのは役者としてどうなんだラッセルさん、ちょい役やけどかなり大事なシーンで登場のリーアム・ニーソンのシーンは風邪気味のせいかうとうとしてしまい...。
祝!東京国際映画祭日本映画・ある視点部門出品!てことで映画祭用の結構でっかいポスターを頂戴する。

杉田協士監督『ひとつの歌』10月23日21時からTOHOシネマズ六本木と10月26日17時30分からシネマート六本木の上映だそうなので、みなさま是非是非。
home