たまたま数日前DVDでじゃなくて最新ブルーレイで『X-MENファースト・ジェネレーション』を見たばかりで、ヒロインの女優が同一人物だとは思えぬテンションの寒暖差が素敵だったデブラ・グラニック監督『ウィンターズ・ボーン』 (『X-MEN』も悪くなかったけど)。笑えるくらい犬がいっぱい出てくるのに猫がワンカットだけだったのはちょっと腑に落ちなかったけど、すごく良い映画でした。
アメリカの片田舎で、麻薬犯罪を犯して行方不明中の父親と心の病を患った母親と幼い弟妹を抱えた17歳の少女の過酷過ぎる物語が、 悲しんでる暇もなく死んだ人間を捜し続ける盲人の物語として広がっていて、最後に流れる曲のように最後に映される写真に向かって「妹たちよ、生きていればわかるから」としか言い様のない世界。一族の人間として勝手に感情移入する部分もあり。私も大阪帰る度「昔はもっと面白い女だったのに...」と言われるんです。
十代の少女が酷い環境に生き苦しむ話ってのはまあよくある話だけど、男に犯されるわけでなく肉体的にボコられるってのはちょっと見たことなくて、だいぶショックで、腫上がった顔の血なまぐささとか湖の冷たそうな感じがアメリカの女の冬なんだろうなあ。チェーンソーの音が『テキサスチェーンソービギニング』より怖かった。じいさんに話しかけたくらいでコーヒーぶっかけられるとかマジでイヤやし。しかしこんな今時っぽい女の子が猟銃使って獲物を殺して生活してるってちょっとびっくりしてした。
作品に特に興味があるわけじゃないけどマット・デイモン主演と聞けば見逃すわけにはいかぬとスティーブン・ソダーバーグ監督『コンテイジョン』 を見てみたら、マット以外にもジュード・ロウやマリオン・コンティヤールや超豪華キャストでびっくり。開始10分でグウィネスさんは頭の皮がべろーんとなってましたけど。
内容は、米国版『感染列島』とも言うべき、謎のウィルスにばたばたと人が死んでいく世界とウィルスの如くネットやTVを伝って世界中を駆け巡る情報に対して混乱していく人たちを、スピーディーに淡々と、大した感動的エピソードがあるわけでもなくただ描いてみました的退屈さで、ところどころ音楽がダサ過ぎるけど決して嫌いなタイプではないと思いつつ、今こんなすごい俳優たちを使って世界中でロケしてまでまったく華のないむしろ陰鬱な気分にしかならない映画見せられてもなあ、とちょっと困ってしまった。ただ、あんまり機材のこととか詳しくわからないけどアメリカ映画でここまでビデオ丸出しっぽい明るさを見たのは初めてな気がしたので、スティーブンさんは色々考えてのこの映画なのかも知れない、です。今回もマットのその辺のあんちゃん感は素晴らしかったです。
なんて言いながら観賞後入った映画館のトイレで普段は使わない殺菌ジェルなんかで手を洗ってしまった私は監督の思う壷なのかも知れない。見た後、握手とかキスとかかなり怖くなることは確か。
相米慎二ショックの状態でニコラス・レイ監督『ウィ・キャント・ゴー・ホーム・アゲイン』(73-11年)なんて凄い映画を見たもんだから知恵熱出ちゃって。体が熱くて頭もぼーっとするもんだからホームどころか有楽町にも戻れず、貴重なチケットをゲットしてたけどフィルメックスさんの最終日は泣く泣く断念。自宅のベッドの中で、私もいつか黒いアイパッチをしながら真っ赤なジャケットを羽織って、めちゃくちゃ年下で可愛い旦那でも捕まえようと決意を新たにしたのでした。深く実験的且つ感動的な美しい映画でございました。見れて良かった。
で、国のバカ政策のおかげで私の元に大量の商品券が回ってきたのでやっと高性能のDVDやらブルーレイやらが見れるらしい機械を買ってみて、せっせとWOWOWさんのニコラス・レイ特集なんかを録画してみてるのですが、確かにこういうのにハマりだしたらキリがなさ過ぎてヤバい感じはわかる。
そしてもう再び東京フィルメックスさんに戻り、「相米慎二のすべて」で『雪の断章ー情熱ー』(85年)と『東京上空いらっしゃいませ』(90年)をスクリーンで初めて、公開時以来に『風花』(01年)を見たのですが、なんかもう、色んなことに胸と頭がぱんぱんになり過ぎてもはや細かいことは覚えてない。数年前フィルムセンターさんで初めて『ションベン・ライダー』を見たときも動揺し過ぎて日記なんて書いてる場合じゃないとスルーしてしまったことがあるのですが、今回もやっぱり無理。とりあえず、私もぽんちゃんにトロンボーンのひとつも持たせてやればよかったと涙と鼻水をだあだあ垂れ流し、ますます若手監督の日本映画を見る気が失せてった。
上映後の笑福亭鶴瓶と浅野忠信の、司会をたてずに相米監督についてそれぞれがひとりで話したトークもとても感動的で、「相米はそこにいますよ」という鶴瓶の言葉が本当だった。浅野さんの髪型が米兵みたいで素敵だった。
本編前から『ドラゴン・タトゥーの女』に続けて『ワイルド7』の予告を見てなんかもうやっぱり韓国に国籍戻そうかしらと思う程情けない気持ちになってしまったもののなんとか気を取り直してウェス・クレイヴン監督『スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション』 を鑑賞。このシリーズの今までの作品を真面目に見てきたわけじゃないけど十分楽しく馬鹿馬鹿しく感心した。
シリーズ一作目で生き残ったヒロインが映画内事件のことを書いた小説を出版したことを機に事件の舞台になった故郷に戻ってくるとまた過去と同じような殺人事件が次々と起こりだしホラー映画マニアの高校生たちが面白がって解決に乗り出す、「ホラー映画のセオリーではこの先は...」とか「リメイク版はオリジナルを越えなければ...」とか台詞で言ったことを丁寧にその後実行する、よくこんなこと考えるなと呆れつつもパーティーでホラー映画を見てる最中実際に殺人事件が同時に起こるシーンなんかはかっこよさに感動、そしてあのお面が登場する度に思いっきり椅子から飛び上がってビクビクしまくり。最終的に、殺人犯が犯行現場を中継しながらネットで流すことこそが最新のホラー映画だ!と張り切った映画オタクのガキどもが犯した失敗が映画を元に戻す、おじいちゃん監督の勝利がかっこよし。名作『バレンタインデー』では真面目な女子高生役だった少女がとんでもない悪人役になってましたけど。
それにしても祝日の歌舞伎町で見たからか、周りの客が自由に出入りしまくるわ私語はでかいわで、まあこの作品の雰囲気にあってたからよかったんだけど。
昨日はぽんちゃんの初七日だったので家でおとなしく二日酔いでぶっ倒れてたんですが、一応映画好きでiPhoneも常備していると言うのに動画を撮るという発想がまったくなかったのは今となってはいいことなのか悪いことなのか。普通の人はペットの映像とか残してるものなのかしらん。
本日にはなんとか復活して再び東京フィルメックスさんでの「相米慎二のすべて」に向かい、『ラブホテル』(85年)を初めて見ました。相米監督によるロマンポルノ作品、うっかり最後にクレジットで脚本石井隆の名前を見るまで村木と名美の物語だと気付けず。
ラブホテルの室内に風神雷神風の屏風があるってだけで十分異様な空気の中、前回同様あまりの事態にただ圧倒されまくってる間に88分は過ぎて行ってしまった。港のシーンも車の撮影もアパートの外の光も見ながらひえーすげーと思ったけど、上映の後の寺田農氏(超かっこよかった)による撮影当時のお話も想像以上にすごいもので。 なんでか、生前に一度遠くからでもいいから相米監督ご本人を目撃してみたかったと強く思った。
そして夜には池袋に移動してとある映画を見たのですが、これは数年前に一度見てて自分でgojo日記を検索したところえらい興奮した感想まで書いてるのに、悲しい程細部を忘れてて、まるで初見のような新鮮さに自分不信。
今週末は開催中の第12回東京フィルメックス さんにて「相米慎二のすべて」に通い、『魚影の群れ』(83年)と『お引越し』(93年)を見てました。
まったく初めて見る『魚影の群れ』は、映画の中であまりにも凄まじいことが起こっているのでつい普通にふーん緒形拳ってマグロ漁やるんやと思ってしまったけど、そんなわけない。 他に夏目雅子が出ててエンディングに原田芳雄の歌が流れて、佐藤浩市の毛量は生命力強そうだなと思った。
『お引越し』は、製作当時多分関西ローカルだと思うけど相米監督本人が出演して主演の小学生の女の子を募集するテレビCMが流れてて、その頃既に映画に足を突っ込んでいた中学生だった私は歳ごまかしてオーディション受けようかしらとか考えてたんだけど、そんな私がバカだった。この田畑智子は神。ビデオで見たことあったけど、やっぱスクリーンとフィルムの力ってすげえなとここまで感じたのは久しぶり。ちょっと後方の座席に座ってたのですが、とにかくほぼ満席のお客さんが圧倒されまくってるのが肌でわかった。そして久しぶりに見て、このファーストカットにはちょっとびっくり。
と映画の余韻に浸ってしっぽり、してたはずが朝方酔っ払って居酒屋の店員に絡みまくる始末。反省。
しかしいつまでもめそめそしてるわけにはいかぬと気合いを入れて久しぶりに映画館へ、でもこのへろへろの精神状態を刺激しなさそうなお気楽な作品をと今更ジョー・ジョンストン監督『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』 を選んでみた。原作はアメコミの原点と言われてるコミックらしいが、全然知らない。主人公の若者は初めて見たけど、トミー・リー・ジョーンズとかサミュエル・L・ジャクソンとか出てます。
1942年のアメリカを舞台に、ひ弱過ぎて軍隊に入れない愛国心に満ちた青年が国家の極秘機密マシーンで肉体改造の結果スーパーヒーローになる、いかにも漫画っぽいお話が、さすがに最近流行の映像が派手過ぎて何が映ってるかわからない系ハリウッドアクション映画とは一線を画す落ち着き、なのだが、既にそれじゃどこか物足りなさを感じてしまってる自分を発見。つまんないってわけじゃ全然ないし、初めて敵の陣地に潜入するときすっごい忍び足で頑張ってるのに背負ってる盾がド派手な星条旗柄だもんで俯瞰で見たら悪目立ちし過ぎという微妙なユーモアとかは好きだったんだけど、色々バランスが良過ぎて逆に面白みが欠けてしまってた気が。どう見てもパート2に繋がる終り方だったので続編にもうちょっと期待。次回の冒頭は絶対に8時に待ち合わせの場所に行ってほしい。
しかしこの主人公が、夢の機械(カプセル型)に入って、どんなヒーローキャラになって出てくるのかと期待したら、もやしっ子の男の子がめっちゃマッチョなボディーになっただけという展開にはちょっと笑ってしまったのだが、顔は同じ人物で筋肉のつき方がまったく違うという設定のからくりが情けないかな全然わからなかった。これどこからどこまでがCGなの??
しかしこれを見た池袋東急さん、家から近いのと昭和な雰囲気がお気に入りの劇場だったのに年内いっぱいで閉館と知り静かにショック。シネコンに負けた、と堂々と宣言していて、妙に切ない。

癌が発覚してから4ヶ月、日々痩せ細りながらも小さな体でがんばっていたぽんずくん(享年7歳、多分)ですが、15日の朝早く、静かに息を引き取りました。今まで色々心配や応援してくれたみなさま、本当にありがとうございました。
ここ数日は結構調子良さげで、顔の腫れが引いたり食欲も復活したりしてたのでちょっと安心しかけてたのですが、当日の朝に突然まともに歩けなくなり、そのままぐったりと。最期は私の手のひらの上に頭を置いて、苦しそうな時間が短かったことが唯一の救いでしょうか。今頃天国で好物だった白ワインをしこたま呑んでくれてることを願います。

でもぽんちゃんが一番好きだったのは私だったもんなああああ。数十年後会いに行く。一枚目の写真は渾身の決め顔。
この事態を、わかってんだかわかってないんだかな態度だったそらちゃんが、数時間前、突然今まで聞いたことのない遠吠えみたいな声で数分感鳴き続け、おおこれが猫流のお別れの挨拶なのかとちょっと感動した。
Mac復活。

多分数日前、私にしては珍しく午後イチに映画を一本見たんだけどまあそれは置いといて、夜には井口昇監督『電人ザボーガー』 を見たのだった。70年代に人気だった特撮アクションヒーローものとのことで、8割以上入ったお客さんは見事なまでに99%おっさん。でも私は今回の映画で初めて名前を知りました。
前半、イケメンヒーローが父の仇をとるためザボーガーなるロボットと二人三脚で悪と戦うあたりはちょっと悪ふざけの過ぎる戦隊ものとして楽しむも、後半の熟年期、板尾創路演じる無職で糖尿病を抱える元ヒーローが主演になってからはひどく切なさが漂う。 ザボーガーが人型ロボットからバイクにトランスフォームする姿なんかは普通にかっこよかったけど、ビキニ姿の巨大女子高生ロボットが東京の街を破壊する姿の爽快さはさすが。色々笑ったり呆れたりしたものの、最終的には女と正義を守る愛に満ちた映画でございました。最近の日本映画は簡単に人殺し過ぎじゃないかとご立腹だった私には「人は殺しちゃいけなんだ!」というヒーローの言葉に素直に感動してしまった。
で、エンドロールのときに実際のTV番組版の映像が流れるのを見てびっくり、結構そのまま忠実に再現してたんですね。あの小さいヘリとか、冗談かと思ってた...。
私にしては珍しく午後イチに映画を一本見たんだけどまあそれは置いといて、夜にはユーロスペースさんで上映中の「映画監督横浜聡子最新作×2」(ごめんなさい、普段使ってるMacから別のウィンドウズに変わっただけでリンクの貼り方がわからない・・・)で「真夜中からとびうつれ」と「おばあちゃん女の子」の二本を鑑賞。平日の夜だというのに中々の盛況。
「真夜中からとびうつれ」は、雑誌真夜中の企画として作られた短編作品、ネットでも期間限定で公開されてた、とのことですが、どうもパソコン画面で動画を見るのが苦手な私は今回が初見。映画を巡る映画のお話、何がびっくりしたかって、今まであまり良さがわからなかった多部未華子がこんなに可愛く見えるだなんて。むさくるしいおっさんたちに囲まれて映画を背負う多部ちゃんの笑顔だけでも一見の価値有りなくらい胸キュン、しかし多部ちゃんひとりで世界をここまでロマンチックにしてしまう横浜監督もすごいなあと感心してしまいました。
「おばあちゃん女の子」は、高野文子の作品がベースになってるそうですがそちらは未読。『ジャーマン+雨』のよしこ、野嵜好美が主演の不思議な夫婦の物語、とにかくこの女優を見てるだけでもずるいくらい面白いんだけど、笑いながら見てたはずが夜になった途端空気が突然入れ替わるようなスリル、あの電話ボックスから給水塔(?)に侵入するまでのシーンには結構どきどきした。なんとしてもあの塔に登ってほしかったと思わなくもないが。
両方の作品に出演してる宇野祥平という役者さん、詳しくは知らないけどかっこいいのか三枚目なのわからなくていいですね。あと、煮物って宅急便で送れるんだ...とちょっと驚きました。
上映後の、横浜監督×北條誠人支配人×孫家邦社長のトークも、映画のこれからの作り方と配給の仕方から横浜監督の死生観までと非常にわかりやすく勉強になる内容で面白かった。
さらに終了後の打ち上げでは、もうほんとに無責任な暴言を吐くのはやめようと心に誓った夜。ネット社会って恐ろしいですね。
なんでかひとり爆音状態のミラノ座さんでやっとジョン・ファブロー監督『カウボーイ&エイリアン』を鑑賞。『アイアンマン2』が結構好きなのでそれなりに期待して行って、期待を裏切らない面白さで、満足。と言うか、「SFも西部劇もインディアンもラブストーリーも父子愛も全部やりたいの!」とスピルバーグとロン・ハワードに言った手前これ以上やりようないよな。
記憶喪失の謎めいたお尋ね者がふらりと立ち寄った小さな町に突然基本ブチ切れモードのUFOが現れ大暴れ、最初は敵対していた男たちもどんどん一丸になって宇宙人と戦う。UFOから、カウボーイが獲物を捕まえるかのように、ロープが投げられひょいひょい人間がさらわれていくのとか、馬に乗りながらUFOに向かって銃をぶっ放すとか、馬鹿馬鹿しさも含め見てるだけで楽しい。かなり強引に色々やってるけどリズムとバランスが良くてさくさく見れる。
本気で冗談とか通じなそうなダニエル・クレイグが今まであんまり得意じゃなかったけどこの寡黙キャラはなかなか。しかしこの人、何かと拷問されがちですよね。せっかくのハリソンくんが善人なのか悪人なのかが中途半端だったのはちょっと残念。最高にどうでもいいことやけど、gojo的マイブームが大型犬なので、冒頭から出てきたワン公が特に活躍するわけでもないのにちゃんとラストまで大事にされてたのはだいぶポイント高し。
で、質問。カウボーイにおける帽子(テンガロンハット)の存在って、歴史的な意味があったりそれがちゃんと研究されてたりするんですか?映画の中で不自然なくらい落としても落としても被り直す主人公を見て気になってしまったのですが。
帰宅後、WOWOWでジェームス・グレイ監督『トゥー・ラバーズ』をチラ見、内容的には完全に『モテキ』なのな。
復活。

『鉄西区』でさえ日を分けて見た自分が到底『原油』(840分)を完走できるとは思えないもののせめて一本くらいはとオーディトリウム渋谷 さんで開催中のワン・ビン(王兵)全作一挙上映!に向かい、『世界の現状』(07年)を見てみた。ワン・ビン以外に、アピチャッポンやペドロ・コスタなど6人の監督が参加しているオムニバス映画。
このタイトルに対し全体的に絶望的な内容の作品が続く中、ワン・ビン監督『暴力工蔽』も、60年代の中国を舞台に反革分子がリンチされて殺されるまでの短編劇映画とだいぶブルーなことになってましたが、初めての劇映画、今までのドキュメンタリー作品とはまた違う執拗な手持ちカメラと役者たちの緊張感が見てて怖かった。足のスネを堅い棒で殴る暴行、『ミザリー』以来トラウマで。家畜のように横たわる女の死体、俄然『無言歌』が楽しみなりました。
ペドロ・コスタの帰る家を失った男たちの短編も面白かったし、アピチャッポンの船上の法事(?)みたいな作品も良かったが、最後の(監督の名前を失念。多分フランス人)狂った上海の夜をダラ撮りしただけの映画が個人的に結構ツボだった。


予告を見たときにはちょっとしたトンデモ映画かと思っていたら実は田壮壮監督(好きだけど、未だ発音できない)の最新作だったとはと上映最終日に駆け込んで『ウォーリアー&ウルフ』 を見てみたのですが、これがほんとにトンデモというか困ったちゃん映画で、ちょっとショックだった。
井上靖の小説が原作らしい、違う部族の男女がセックスすると獣に化かされて狼になってしまうというお話をそのままやるのは全然いいと思うんだけど、ほんとーにだだっ広いだけの雪山や大自然を目の前に田さんも何を映していいのかわからなくなってしまったのか、映画の大半がちょっとオシャレなだけの風景ショットみたいになっちゃってて。主演のオダギリジョーが終始中国の山奥まで来て自分が何やってるかわからない風の戸惑った表情を見せてたけど、見てるこっち側も多分そんな顔になってた。最終的に愛し合う男女がどう見てもただのレイプ犯と被害者でしかないってのも今イチ腑に落ちず、山小屋の密室は照明が暗過ぎて何が映ってるのかよくわからず。それでも、真っ白の雪山に黒装束の大群とかやけくそとしか思えない程突然狼の大群が砂埃を立てて現れ人間がぽいぽい飛ばされる勢いとかかっこいいところは幾つかあったのだけれど。総制作費7億円!という中途半端な宣伝文句は嫌いじゃないが、そんな歴史大作気取ってやるよりもっと他の方法の方が良かった気がする...。
今週末はちょっと日記が書けない環境になるのですが、また体調壊して入院したりしてるわけではないのでご心配なさらず。また来週〜。
と、どうしようもない映画を見た後は癒しを求めてユーロスペースさんで開催中のフレデリック・ワイズマンのすべて に行ってみたら映画の日だし隣の劇場は『サウダーヂ』だしでロビー超混雑。
で、日本初公開の『ボクシング・ジム』(10年)を見ました。テキサス州にあるというボクシングジムを映した91分間は、それはそれはボクシングジムで、大変面白かったです。相変わらず、練習中のリングの中に入って撮影なんて、めちゃくちゃ邪魔そうなのによくできるなあと。まさかのATSUMIジムでリメイクでもしようかしら。
結構広そうなジムの中でトレーニングしてる人たちはばりばりのボクサーって言うより地元の子どもたちやLFL (ランジェリーフットボールリーグ)の選手みたいなおねえちゃんや乳飲み子を抱えた若いお母さんや歳のいったおじいちゃんやほんと様々。その人たちから漂う移民感と低所得者感がかなり濃いのがテキサすい。買ったものの分厚さに負けて放置しっぱなしだったワイズマン本を真面目に読もうと心改めました。
それにしてもこれは、詳しいことはわからないんだけど、フィルムで撮ったものをデジタルで上映してるのかしらん。ワイズマン映画とは思えない明るさにちょっと戸惑ってしまった。
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